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コマツ社長「保護主義の何が心配なんですか」

コマツ大橋社長に聞く、「社会」との向き合い方

2017年1月27日(金)

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 本誌1月23日号の特集「トランプに負けるな!~トヨタ、GE、ダノンの動じない経営」では、グローバリゼーションの修正が始まる時代に必要なのは、企業が自らの事業を通じて社会との価値の共有を重視する「サステナブル経営」であると位置づけた。連載第5回は、中期経営計画に「ESG(環境・社会・ガバナンス)」を盛り込んだコマツの大橋徹二社長のインタビューを掲載する。

 コマツは鉱山会社など環境負荷の大きい産業との対話の中で、環境や地域社会を重視する世界の潮流にいち早く気付いた。大橋社長は、保護主義が台頭するなかでも「振り回される必要はない」と話し、長期的な目標に向かって粛々と事業を続ける方針を明かした。(聞き手は 島津 翔、大西 孝弘)

【記事のポイント】

  • ●企業活動はグローバル。これからも変わらない
  • ●地域に根ざすのは企業にとって「当たり前」
  • ●短期的な政策変更に振り回される必要なし
(写真=竹井 俊晴)

大橋徹二(おおはし・てつじ)氏

1954年生まれ。62歳。77年東京大学工学部卒業後、コマツ入社。生産本部真岡工場長、コマツアメリカ社長COO(最高執行責任者)、常務執行役員生産本部長、取締役(兼)専務執行役員(事業戦略、生産・販生、情報戦略、産機事業管掌)などを経て、2013年4月に社長兼CEO(最高経営責任者)就任。2016年4月から始まった中期経営計画で、ESG(環境・社会・ガバナンス)を位置付けることを自ら提案した。

トランプ米大統領の誕生で、通商政策が大きく変わる可能性があります。どのように対応しますか。

大橋徹二社長(以下、大橋):しっかりした会社にはしっかりした信念があります。政策変更なんて当たり前の話で、それにいちいち左右されて信念を変えていたら、すぐ死んでしまいますよ。

 我々はこれまで、もっと大きな波を乗り越えてきました。鉱山機械の世界需要は過去7年で5分の1になってしまった。そういう大きな波が、この数十年続いてきたんです。そういう業界にいる人間からしたら、「何が心配なんですか」というくらいにしか思っていません。

2016年4月に始まった中期経営計画ではコマツとして初めて、「ESG(環境・社会・ガバナンス)」を経営の軸に位置づけました。年金基金などの長期投資家が、事業環境の変動リスクに耐性のある企業を選別するための基準として、ESGを重視しています。コマツもCO2の削減目標を数値として盛り込むなど、一歩踏み込みました。ESGには長期的な視点が必要ですが、一方でトランプ政権の誕生など短期的な政策変更もあり得ます。短期的な変化と長期的な潮流に対し、経営上、どのようにバランスをとるのでしょうか。

大橋:短期的に変えなければならない項目はあまりないと思っています。もちろん、排ガス規制の強化などが政策として出てきたらもちろん対応します。それから、新技術の実用化でより早く目標が達成できる目処が立てば前倒しします。それは当たり前の話です。それ以外の項目は粛々とやっていきますよ。

 コマツの経営の基本は、「品質と信頼性」を追求し企業価値を最大化すること。企業価値とは、社会と全てのステークホルダーからの信頼の総和なんですね。従業員も投資家も顧客もサプライヤーも全部です。だから、誰かにだけ良いことをやるというのはこの経営の基本からすると「おかしいこと」なんです。バランス良くやっていきます。

「トランプに勝つ!「サステナブル経営」の極意」のバックナンバー

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「コマツ社長「保護主義の何が心配なんですか」」の著者

島津 翔

島津 翔(しまづ・しょう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学大学院工学系研究科修了、日経BP社に入社。建設系専門誌である日経コンストラクション、日経アーキテクチュアを経て、2014年12月から日経ビジネス記者。担当分野は自動車、自動車部品。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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