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「サッカー日本代表もソニー経営を取り入れた」

AIBOの開発責任者、土井利忠の述懐(4回目)

2016年6月16日(木)

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 戦後間もなく発足し、かつては世界に驚きを与え続けたソニーが、今も苦しみ続けている。業績は回復してきたものの、国内外で圧倒的なブランド力を築いた面影は、もはやない。日本人に希望をもたらしたソニーは、どこで道を誤ったのか。長くソニーの歩みを見た経営幹部が、今だからこそ話せる赤裸々なエピソードとともに、ソニーの絶頂と凋落を振り返る。あの時、ソニーはどうすべきだったのか。

 これまでにソニーOBの丸山茂雄氏( )、 伊庭保氏( )、 大曽根幸三氏( ) に話を聞いてきた。

 連載4人目は、子犬型ロボットのAIBOや二足歩行型ロボットのQRIOなどの開発を手掛けた土井利忠氏。AIBOやQRIOの開発が始まった経緯からロボット事業撤退の舞台裏、ソニーが知らず知らずのうちに陥っていた病理の分析などを、5日連続で語る。今回はその4回目( 1回目2回目3回目)。

聞き手は日経ビジネスの宗像誠之。

土井利忠(どい・としただ)氏
1942年、兵庫県生まれ。64年東京工業大学電子工学科を卒業、ソニー入社。工学博士(東北大学)、名誉博士(エジンバラ大学)。デジタルオーディオ研究開発プロジェクトマネジャーとして、蘭フィリップスと共同でのCDを開発するプロジェクトや、ワークステーション「NEWS」の開発などを担当。AIBOやQRIOといったロボット開発などの責任者も務めた。87年にスーパーマイクロ事業本部本部長。1988年にソニーコンピュータサイエンス研究所長。2000年にソニーの業務執行役員上席常務に就任。2004年にソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所社長。2006年にソニーグループを離れる。現在は、中小中堅企業などへ経営を指南する「天外塾」を主催しながら、医療改革、教育改革にも取り組む。「天外伺朗」というペンネームでの著書多数(撮影:北山 宏一)

エンジニア出身で研究開発一筋だった土井さんが、今は経営塾を開いています。なぜ、経営に興味を持ったのでしょうか。

土井氏(以下、土井):ソニーショックの翌年の2004年。新しい研究所を立ち上げている時に、僕が提唱した「フロー経営」の元となる「フロー」の概念を生みだした米国の心理学者、ミハイ・チクセントミハイに会えることになったんだ。

 「TEDカンファレンス」と呼ばれるイベントが米国で開かれていて、そのために出張することになった。偶然にも2004年はチクセントミハイがここで講演することになっていた。ちょうど僕はチクセントミハイに興味を持ち始めていた時期だったんだ。

 ソニーの社内で「うつ病の社員が急増していた」と話したよね(詳細は3回目)。人事部の心理カウンセラーから相談されていろいろ調べていたところ、チクセントミハイのことを知った。彼が唱えていた「フロー」という現象について理解すればするほど、ソニーの経営がおかしくなった原因がこれで読み解けるように思えたんだ。

 その時、僕はまだソニーの役員でもあったから、各方面に手を尽くして知り合いを通じ、彼と話がしたいとお願いしたんだ。そうしたら講演を聞くだけではなくて、チクセントミハイとランチをしながら議論をする時間を取ってもらえることになった。

 自分の実感では、チクセントミハイが言っている「フロー」の状態に入ると、集中力が高まって作業がはかどるだけでなく、幸運に恵まれ、アイデアが湯水のように湧き出す瞬間があると思っていたんだ。

 自分が担当してきたCDやワークステーション「NEWS」の開発、AIBOの研究開発もそうだったから。僕だけでなく、開発メンバーがそうなっていたんだ。僕はそれを「燃える集団」と呼んでいたんだけど、それはまさにチクセントミハイが言う「フロー」の状態にみんななっていたんだと思っていた。

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「「サッカー日本代表もソニー経営を取り入れた」」の著者

宗像 誠之

宗像 誠之(むなかた・せいじ)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日本経済新聞社産業部、日経コンピュータを経て、2013年1月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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