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上海で入館2時間待ちのスーパー銭湯

「極楽湯」中国攻略の極意(その1)

2016年6月15日(水)

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 中国で、日本式の「スーパー銭湯」が人気を集めている。経営しているのは日本企業だ。

 国内で40店舗のスーパー銭湯をチェーン展開するジャスダック上場企業の極楽湯は、2013年に初の海外店舗を上海に開業。2年後には同じく上海に2号店をオープンさせた。初夏の今はオフシーズンだが、気温が下がる秋冬の週末には入館まで2~3時間待ちもザラという盛況ぶり。

 極楽湯が5月13日に発表した2016年3月期決算によれば、中国事業の売上高は前年度比107.4%アップと倍増し、開業3年で同社の総売上高の2割超を稼ぐ。損益も2年目から黒字。今夏には内陸部の武漢に3号店をオープンする予定で、将来は中国で100店舗を目指すという。

極楽湯の連結売上高の推移(単位:億円)

 ここまで読んで「えっ、ちょっと待って」と思う方も多そうだ。

 この1年ほど、中国経済に関する日本の報道で「減速」の二文字を見ない日はほとんどない。今年1~3月期のGDP(国内総生産)成長率は6.7%と7年ぶりの低水準に落ち込み、株価暴落や製造業の不振など景気の悪い話が目白押しだ。日常生活のなかで中国とかかわりがなければ、「中国経済は崩壊寸前」と思い込んでもおかしくない。

肌感覚とマクロ指標のズレ

 そんな中、なぜ極楽湯は好調なのか。

 もし機会があれば、北京、上海、深センなどの中国の大都市をぜひ訪れてみてほしい。週末のレストランやショッピングモールは、一部の高級店を除けばお客さんでいっぱい。朝夕の幹線道路は大渋滞だし、都市間を結ぶ高速鉄道や飛行機もほぼ満席だ。道ゆく人々の表情もおしなべて明るい。肌感覚で測る限り、そう景気が悪そうには見えないはずだ。

 経済指標と街中のギャップの背景には、中国経済の減速と同時進行で起きている大きな構造変化がある、というのが筆者の見立て。製造業からサービス業への、成長エンジンの主役交代が加速しているのだ。

 中国のGDPの産業別の内訳を見ると、サービス業が中心の第三次産業の比率が年々増加しており、製造業が中心の第二次産業を2012年に逆転。昨年ついにGDPの半分を超えた。

中国のGDPに占めるサービス業の比率

 第三次産業に限れば、1~3月期の成長率は7.6%と全体平均を上回る。サービス業の比率が高い大都市ではさらに鮮明だ。例えば上海では全産業に占める第三次産業の比率が1~3月期に初めて70%を超え、成長率は11.5%に達した。街角に不況感が見えないのも不思議ではない。

 「中国の経済指標は信用できない」と疑う向きもあるかもしれないが、こう考えていただきたい。経済が全体としては減速していても、その度合いは産業や企業によってまだら模様なのが実態だ。中国経済の成長エンジンが製造業からサービス業に大きくシフトするなか、消費者の関心は所有欲を満たす「モノ」だけでなく、価値ある体験を重視する「コト」へと広がってきている。こうした変化の潮流をつかみ、消費者に魅力のあるサービスや商品を提供できる企業にとっては、GDP成長率が高かった数年前よりも、むしろ今の方がチャンスが大きい、と言っても過言ではないのだ。

 本連載では、経済減速下の中国で業績を伸ばしている日本企業に注目し、現地事情に詳しいキーパーソンへのインタビューをお届けする。トップバッターの極楽湯では、本社の松本俊二専務と現場のコアメンバー3人にじっくりお話をうかがってきた。中国の街角景気の実態と合わせて、全4回で余すところなくお送りする。

(※ 本連載のインタビューは昨年12月~今年2月に行いました。筆者の事情により掲載が遅れたことをお詫びします。肩書きは当時のものです)

コメント3件コメント/レビュー

そもそも「中国経済が減速している」と言ったって、成長率6%台という数字が水増し分をかなり大きく見積もって実際が4%台だとしても、今の日本では望むべくもない高い数字なんですよね。更に経済指標と実体経済や一般消費者の景況感は必ずしも一致しないですし。(経済指標は上向いているのに国民にその実感が無い日本の逆パターン?)(2016/06/20 13:25)

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「上海で入館2時間待ちのスーパー銭湯」の著者

岩村 宏水

岩村 宏水(いわむら・ひろみ)

フリージャーナリスト

大手出版社に19年間勤務し、うち12年間を中国と香港で過ごす。2010年に独立。現在は東京を拠点に、日中間を往復しながら取材・執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

そもそも「中国経済が減速している」と言ったって、成長率6%台という数字が水増し分をかなり大きく見積もって実際が4%台だとしても、今の日本では望むべくもない高い数字なんですよね。更に経済指標と実体経済や一般消費者の景況感は必ずしも一致しないですし。(経済指標は上向いているのに国民にその実感が無い日本の逆パターン?)(2016/06/20 13:25)

上海で数年仕事をし、現在、北海道の温泉の街に暮らしているものです。
まだそんなに混んでいない頃、上海極楽湯さんも一度利用させていただきました。

大変清潔で、気持ちが良く、確かにお湯もとても柔らかく感じました。
(日本人の私には、お湯の温度が低めではありましたが)

日本に戻ると、書店にも「中国経済崩壊」みたいなタイトルの本がならび、領土問題の影響のせいか人々の対中感情も良くない状況で、何よりも経済の実情についての理解に温度差がありすぎて、地元の人と話をしても”違和感”を感じてしまうことがままあります。

3次産業に関するグラフや3次産業における経済成長率等、人と話をする際の助けになります。
ただやはり、中国の経済状況は、実感として上海の街中を歩き、お店をぶらついてみてもらうのが、一番良いのかもしれません。

その点、スーパー銭湯さんがプロ集団として(アメリカ海兵隊と同じように)、実地のアナログ的・直感的情報を重視されていることには、脱帽です。昨日深夜わたしは上海入りしましが、そこの宿舎公寓でも1年前と比べて自家用車が増えすぎて、もはや駐車が臨界状態です。

中国は広大過ぎて1か所見たぐらいですべてを見たことにはなりませんが、顧客に中国人が増えてきたお店の人たちには、上海ぐらいは見て、感じて欲しいものです。
政治体制の違いなどもありますが、おそらく今後20年もせずに日本の経済界にも「遠いアメリカよりも近くの中国」という言葉ぐらいは出てくるのではないでしょうか。(2016/06/18 18:00)

コンサルの話をソニーの出井さんに聞かせてやってください。(2016/06/15 18:40)

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長