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クーデターの予兆は群れの中の新同盟

チンパンジー研究の松沢哲郎氏に聞く「トップ交代」

2017年7月12日(水)

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 日経ビジネス7月10日号は「社長解任 誰がクーデターを起こすのか」と題した特集を掲載した。今春には三越伊勢丹ホールディングスで突然の社長交代があったが、産業界の歴史を紐解いても、同様のトップ交代は繰り返されてきた。なぜ、そして、どのようにクーデターは起こるのか。様々な角度から取材・分析した。

 「トップ交代」は人間の組織に限らず動物の群れでも起こる。動物の世界をみることで、人間世界の組織運営を分析する上で多くのヒントを得られる。人間と最も近い遺伝子構造ともいわれるのがチンパンジーだ。その群れの中では、どのような権力闘争があるのだろうか。チンパンジーを40年にわたって研究してきた京都大学の霊長類研究所・兼任教授の松沢哲郎氏に話を聞いた。

松沢哲郎(まつざわ・てつろう)
京都大学霊長類研究所・兼任教授。1950年、愛媛県松山市生まれ。74年、京都大学文学部哲学科卒業。1977年11月から「アイ・プロジェクト」とよばれるチンパンジーの心の研究を始めた。野生チンパンジーの生態調査も行う(撮影:菅野勝男、以下同)

まず一般にチンパンジーの群れというのはどのような構成になっているのでしょうか。

松沢哲郎氏(以下、松沢):チンパンジーの群れは、基本的に男性(オス)を中心とした集団です。20人程度の群れであることが多く、血縁関係で成り立っています。群れの中にいる女性(メス)は、複数の男性と関係を持ち、5年に一度子供を産む。子供が女の子だった場合は、10歳前後になると、その女の子は群れを出て行く。よって男性が群れに残り続けます。そうして、男系の群れができあがるのです。男性の間では、トップからの序列があります。それぞれ男性には、どうしても消しがたい上昇志向、つまり、いつかは頂点に立ちたいという、欲求が自然なものとして存在しています。

血縁でつながっているため、殺し合いのような闘争にはならないという話を聞きます。

松沢:基本は血縁による結びつきで成り立つ群れのため、グループ内で殺し合いのクーデターのような事が起きるケースは少ないですね。争いがあっても普通は大きな怪我をする程度です。ただときには、他の群れからやってきた女性の連れ子が殺されたり、隣り合う群れ同士で争いがあったりします。

群れの序列を決めるため、どのような方法で闘争が起きるのですか。

松沢:群れの中で男性が順位を上げていき、トップが変わる道筋はいろいろありますが、典型的にはふたつパターンが見られます。1つは群れの中の2番手と3番手が同盟を作る方法。人間で言えば、副社長や専務など、組織の2番手と3番手が同盟を作って、社長を取締役会で引きずりおろすようなイメージでしょうか。2つめがトップが病気や怪我をした場合です。これら2つのパターンが複合的に絡んでトップの交代が起きるケースも少なくないですね。

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「クーデターの予兆は群れの中の新同盟」の著者

染原 睦美

染原 睦美(そめはら・むつみ)

日経ビジネス記者

日経パソコン、日経ウーマンオンラインを経て、2013年4月から日経ビジネス記者。IT担当などを経て、日用品・化粧品担当。趣味は洗濯、昼酒、ピクニック。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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