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「陰徳」のある国や企業が支持される時代になる

創業者が大切にした「運と縁」、そして「孤独」

2017年10月27日(金)

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サントリー創業者を題材にした小説『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』の作者・伊集院静氏と、創業者のひ孫に当たる鳥井信宏・サントリーホールディングス副社長による対談。第2回は、創業家に引き継がれる「運と縁」、そして「陰徳」の精神について語る。

■第1回 「お前のひいじいちゃん、そんなんやったんか

鳥井副社長は、家族の中で具体的に創業者である鳥井信治郎のエピソードなどを伝え聞いたような記憶はありますか。サントリーのルーツを知る上で、創業者のエピソードは欠かせないものだと思います。

鳥井信宏・サントリーホールディングス(HD)副社長(以下、鳥井):伝え聞いたようなことは、ほとんどありません。そんなことを言ったら面白くも何ともないでしょうけど。ただ1つ、今でも信治郎さんと(妻の)クニさんの年忌法要を比叡山でやっていただいているのですが、子供のころは何となく今年もやるからまあ、行こうかと思っていた程度でしたが、今となると、信治郎さんは本当に信心深くて、そこでしっかり事業の、家族の基礎を作られていたんだなというのを実感します。

 私なりになぜ、信治郎さんが信心深かったかを考えると、結局、最後は神頼みということなんだろうと思います。もうやることをやったら、あとはもうなるようにしかならない。そうなるように、普段からちゃんとお参りしておきましょうと。

 何というのでしょうか。当然、日々努力を惜しまないというしつこさは重要なんですが、最後はもう運やと。私は今、社員に「運と縁や」と言っているんです。運と縁がうまいこといくように、普段から陰で努力をしなさいと。

鳥井信宏・サントリーホールディングス代表取締役副社長
1966年3月生まれ。91年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行、97年サントリー入社。2005年同社営業統括本部部長、2007年同社取締役、09年サントリーホールディングス(HD)執行役員、11年サントリー食品インターナショナル代表取締役社長、13年サントリーHD取締役、16年から現職(写真:的野弘路)

伊集院静(以下、伊集院):そうですな。

鳥井:そうせなあかんと。そこの感覚は、信治郎さんはすごく持っていた。

伊集院:それは非常にいいところを見ておられますな。信治郎も失敗する要素はたくさんあったんですけれども、神様でも鬼でも逃げていきよるぜという、そういう開き直りというんですか。それは、非常に神経が太いという表現ではなくて、覚悟ができていたというところはいいですね。

鳥井:我が社は、ものすごく運の強い会社なんだと思うことがあります。ウイスキーが伸びていて、ウイスキーで儲かっていた時代にビール業界に参入し、ビールを一生懸命やって「琥珀の夢」を追い続ける会社になって……。ウイスキーが伸び悩んだころには、飲料のビジネスが伸長してきたり、飲料でしっかりとした基盤ができたころに、ザ・プレミアム・モルツも含めてビールがグッと良くなってきたり。

伊集院:何かこう、数珠つながりに神様が助けてくれているというか、助けてくれるというより、やっぱり運気が出るんでしょうな。

「対談:伊集院静氏×鳥井信宏氏(サントリーHD副社長)」のバックナンバー

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「「陰徳」のある国や企業が支持される時代になる」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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