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”孤島”から僕を救い出してくれた人たち

思索と数学に没頭した20代を経て会社設立へ

2016年12月5日(月)

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 帰国してからは、しばらく複数の会社の顧問を手がけたり、特許事務所の仕事を引き受けたりしていた。

道脇:留学前からいくつか引き受けていたんですが、知人の紹介などで色々な会社から技術や事業計画を立案する顧問になってほしいと声がかかっていたんです。大手製薬会社向けの材料の研究開発をしている会社や、デザイン会社、カー用品の会社など、業種は様々でした。ある企業の社長からは「“狂人的”な人がいないと、画期的でインパクトのある新しい製品ってできないから」と言われ重用されたことを覚えています。はたから見るとやはり僕はちょっと“狂人的”だったんでしょうね(笑)

特許事務所では特許明細書の作成代行とか、技術知見の提供などをしていました。そういえば、初めて特許事務所に行った時、夏だったんですけど、僕ノーネクタイに、特注で作ったスーツの生地の半ズボン、アロハ柄のシャツにサスペンダーという格好で行ったんです。当時は夏場でもネクタイを締めしっかりとスーツのジャケットまで着るのが当たり前だったので非常に驚かれましたが、僕にとっては今でいう「クールビズ」のようなものです。「将来はこれがスタンダードになりますよ」と言ったことを覚えています。

「女性視点」の技術で特許出願

 ちなみに僕の特許出願第一号は、最後まで固まらず使えるペン型のマニキュアツールでした。18歳頃だったと思います。なぜ僕がマニキュア?と思われるかもしれませんが、これはそれなりの考えの元に発明したモノだったのです。

 人間社会には性的に分けると男性と女性がいますよね。すると僕は男性だから、最大でも人間社会の半分しか見ることができないことになります。これって片目を瞑って歩いているようなものです。女性視点で世の中を眺めることができなければ、バカ克服プログラムは道半ばで終わってしまうと思ったわけです。女の人ってどういうことを考えるのか、何を良しとし、どういうことに不満を持っているのか。それを知るために、女性の行動などを日常的によく観察するようになりました。

 女性にちなんだものを発明しようと考えていたなかで生まれた発明品の一つが、マニキュアツールです。女性の友人が、マニキュアは最後まで使い終わらないうちに途中で固まってしまうという不満を言っていたことがキッカケでした。マニキュアは、短時間で揮発乾燥するエナメル溶剤が、刷毛の付いたキャップとともに小瓶に収納される仕組みになっており、開封後は直ぐに固化が進行すること、そして、そもそもマニキュアを塗る作業がしにくいことが問題だと考えました。そこで、材料の配合を工夫する他、マニキュアを入れる容器自体を変え、ノック式のペン型にしたマニキュアツールを発明し特許を出願しました。これは、超速乾性のマニキュアでも容器内では全く固化しないうえに、塗る作業も簡単で非常に便利な物でした。ただ、商用化するためのパートナーには巡り会えませんでした。

「小学校“中退”の発明家、道脇裕の「人生をネジろう」」のバックナンバー

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「”孤島”から僕を救い出してくれた人たち」の著者

齊藤 美保

齊藤 美保(さいとう・みほ)

日経ビジネス記者

2011年中央大学法学部卒業。同年、日本経済新聞社に入社。産業部にて電機、IT、自動車業界を担当した後に、2014年3月から日経ビジネス編集部に出向。精密業界を中心に製造業全般を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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