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傍流だから難局挑めた 正義と勇気と感性で経営

山本 正已[富士通会長]

  • 日経ビジネス編集部

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2016年4月4日(月)

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(写真=村田 和聡)

 2010年1月のことでした。当時、会長兼社長だった間塚道義さんらに呼ばれ、社長就任を要請されました。「受けます」と答えたけれど、不安がありました。社長になるのに、助走期間がなかったからです。

 社長選びの一般的なパターンは、時の社長が複数の後継者候補を傍らに置いて経営を学ばせ、その中から選ぶというものです。しかし富士通は2009年に指名委員会を発足させ、そのメンバーが人選する仕組みにしました。この新組織が指名した時の私は、パソコンや携帯電話などを扱う事業部門のトップで、会社全体を見渡すような立場にはありません。「経営者とは」を学ぶ時間がほとんどなかったのです。

 加えて富士通は2009年9月に当時の社長が任期途中で辞任し、会長だった間塚さんが急遽、社長を兼務していました。引き継ぎをしてくれる人が事実上いなかったのです。よく社長交代の記者会見で、「従来路線を踏襲する」と言いますが、私はそう言えなかったし、逆に変えなければなりませんでした。

 富士通の歴代社長は主力のビジネスユニットの出身者でした。対する私は傍流。社内でも無名の人だったはずです。リーマンショックに強烈な円高と、取り巻く環境も厳しい。構造改革を進めなければならないと分かっていましたが、「山積する課題を自分は片づけられるのか」と思ったものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授