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お腹いっぱいの顧客には麦飯を!

第10回 技術「盛りすぎ」に注意が必要なワケ

2016年1月13日(水)

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 前回までのまとめ・・・“無消費“を生み出している”制約”を解き放とう!

 前回の連載では、新市場型の破壊的イノベーションを生み出すためには、“無消費(ノン・コンサンプション)”の状況を見つけるのがよい、というお話をしました。“無消費”とは、何らかの“制約”によって製品やサービスが使われていない状況のことです。

 そして、制約には“スキル”、“資力”、“アクセス”、“時間”の4つがあることを学びました。これらの消費を妨げている“制約”を解き放つような、できるだけシンプルな解決策を考え出すことができれば“新市場型の破壊的イノベーション”を起こすことが期待できます。

過剰満足(オーバー・サティスファクション)を探せ!

 もし、いくら多様なメンバーを集めて“無消費”の状況を探しても、どうにも見当たらなかった場合には、第二の覇道、すなわち“過剰満足”の顧客を探すと良いでしょう。このアプローチは、自社が供給している製品やサービスが、ある顧客グループにとって、ある特定の性能がこれ以上向上してもそれが満足度の向上につながらないような“破壊的イノベーションの状況”に陥っているときに、とくに有効です(下図参照)。

 連載第4回でお話ししたように、これは「高性能=高付加価値」という等式を信じて疑わないエンジニアにとっては、非常に受け入れがたい事実でしょう。しかし、見渡してみると、自動車の最高速度やパーソナルコンピュータのクロックスピード、スマホに搭載されたデジカメの画素数や床屋のサービスなど、顧客が既に「お腹いっぱい」でそれ以上「盛りつけ」られても満足度が向上しない状況にある製品やサービスは、結構多いものです。

 もしあなたの会社の製品やサービスが、いくら機能を追加しても顧客がそれに見合った高い価格を払ってくれないようなら、どこかの誰かが、あなたを破壊するチャンスを狙っているかも知れません。これを防ぐための方策はただ一つ。

「破壊される前に、自ら破壊する」

しかありません。

破壊された“ハイエンド床屋”

 私の勤務する関西学院大学ビジネススクールは、大阪駅にほど近い茶屋町アプローズタワーの14階と10階にあります。同じビルの上層階には高級感あふれる“ホテル阪急インターナショナル”が入居し、1階にはハンティングワールドなどの高級ブティックがあり、梅田芸術劇場も隣接しています。

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「しゅんぺいた博士と学ぶイノベーションの兵法」のバックナンバー

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「お腹いっぱいの顧客には麦飯を!」の著者

玉田 俊平太

玉田 俊平太(たまだ・しゅんぺいた)

関西学院大学経営戦略研究科教授

博士(学術)(東京大学)。経済産業研究所フェローなどを経て現職。イノベーションの研究者。監訳に『イノベーションへの解』(翔泳社、2003年)、『イノベーションのジレンマ』(翔泳社、2000年)など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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