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顧客自身が気付かない“面倒くささ”を見つける

第11回 エスノグラフィマーケティング

2016年2月17日(水)

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前回までのまとめ・・・顧客の用事(ジョブ)を探せ!

 これまでの連載で、私たちは多くのことを学んできました。イノベーションを起こす道には、あくまでこれまでの延長線上の持続的イノベーションを追求する“王道”と、破壊的イノベーションを起こそうとする“覇道”があり、一見合理的選択に見える“王道”が、実は有力企業が群雄割拠し、市場シェア争いのために血で血を洗う戦いが繰り広げられるレッドオーシャンであることを知りました。

 もう一つの道である “覇道”、すなわち破壊的イノベーションを起こす道を見つけるためには、 なんらかの制約によって“無消費(ノン・コンサンプション)”となっている顧客の用事(ジョブ)を見つけるか、既存の製品やサービスで過剰に満足させられている(オーバー・サティスファクションな)顧客の用事(ジョブ)を見つけるのがよい、ということを学びました(下図参照)。

顧客に解決策を聞いても無駄

 それでは、こうした顧客が解決したがっている“用事”を探し出すためには、具体的にどうしたらよいのでしょう? 前々回(スピルバーグ監督がテレビで撮る理由)の連載では、“制約”の存在を探すことが近道だと申し上げました。

 たとえば、今は専門家に頼まないと解決できないような用事があれば、そこには“スキルの制約”があるということになりますし、ある場所でしかその用事が解決できなければ、そこには“アクセスの制約”があることになります。

 しかし多くの人には、そういった制約の存在が、あまりにも“当たり前”になってしまっているため、なかなかその存在に気づくことができません。例えば、パソコンと言えば本体とディスプレイを合わせた重さが20キログラム以上あり、据え付けられた部屋で使うのが“当たり前”だった時代がありました。

 そんな時代の消費者は、まさか自分にカフェや電車の中でSNSやメールやウェブブラウジングをするような“用事”があり、そのために“スマートフォンやタブレット”といった解決策があれば便利だなんて、思いつきもしなかったでしょう。

 また、ある用事を解決するために“雇われる”製品やサービスが、その“用事”とあまりにも深く心の中で結びついてしまっている場合、顧客にはそれ以外の解決策を思いつくことができません。アメリカの自動車メーカー、フォード創業者ヘンリー・フォードの言葉に、「顧客が馬で移動していた時代に、何が欲しいかと顧客に聞いても、顧客は『速い馬が欲しい』と答えただけだろう」という趣旨のものがあります。

  同じように、現代の洗濯機を使っている消費者に「どんな洗濯機が欲しいですか?」と聞いても、「より多くの洗濯物が一度に洗える洗濯機が欲しい」とか、「乾燥したあと洗濯物がしわになりにくい洗濯機が欲しい」と言った、既存製品の改良を希望する答えが返ってくるだけでしょう。決してCEATEC JAPAN 2015でセブンドリーマーズが発表した全自動洗濯物折りたたみ機「laundroid(ランドロイド)」のような、洗濯物を自動でたたんでくれる製品が欲しい、との答えは返ってこないでしょう。

 つまり、消費者というのは、実は自分の“真の用事”が良く解っておらず、したがってそれを解決するために雇われるべきスマートフォンや自動車などといった“全く新しい解決策”の可能性を思い浮かべることもできないため、かりに顧客アンケートをしても、そういった“真の用事”とそれに対応する“正しい解決策”は、なかなか浮かび上がってはこないのです。

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「顧客自身が気付かない“面倒くささ”を見つける」の著者

玉田 俊平太

玉田 俊平太(たまだ・しゅんぺいた)

関西学院大学経営戦略研究科教授

博士(学術)(東京大学)。経済産業研究所フェローなどを経て現職。イノベーションの研究者。監訳に『イノベーションへの解』(翔泳社、2003年)、『イノベーションのジレンマ』(翔泳社、2000年)など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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