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【214】ヒモは毎日が崖っぷちの戦いである

2016年3月5日(土)

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主夫で作家志望の現状は「ぬるい幸福」でしょうか

Q 「職種:主夫」としておりますが、実質はヒモのようなもので、まだ結婚はしておりません。作家を目指しながら、図書館に通い、帰っては、教職に就いている彼女に料理を作り、物書きの真似事なぞをしつつ、日々のた打ち回っております。そこで質問なのですが「ぬるい幸福は物書きをダメにする」と、柴田錬三郎氏のお言葉であるように、今のこの状況は「ぬるい幸福」に居るのでしょうか?

(27歳・男性)

シマジ:教職に就き忙しく働く妻のために料理をつくる。これは立派なことだ。相談者には、俺の親友、立石敏雄の名著『笑う食卓』(Pen BOOKS)をぜひ読んでもらいたいね。立石のカミさんは有名雑誌の編集長で、多忙な彼女に代わって立石は毎日の晩飯つくりを受け持ち、疲れて帰ってきたカミさんを温かい手料理で迎えてきた。

 この立石とSM小説の大家、舘淳一そして俺の三人は定期的に、このサロン・ド・シマジに集まる仲間なんだ。午後3時頃に集まり、シングルモルトを飲み、食事に出かける。そしてまたサロン・ド・シマジに戻ってきて夜の11時頃まで語り合う。その8時間はまさに男の友情の時間だ。話題は尽きることなく、面白い話が次々に飛び出し、勉強になる。

女房の稼ぎで生活していることに後ろめたさを感じる必要はない

ミツハシ:いいですね。気の置けない親友たちと過ごす8時間ですか。豊かな時間でしょうね。

シマジ:この3人で会っていると座談の楽しさを満喫できる。立石が66歳で一番若く、舘が70歳で俺が72歳だ。友達というのは体が成長するとサイズが合わなくなる洋服と似ていて、それぞれが経験を積み、成長していくにつれ、だんだんと話が合わなくなることがある。だが、立石と舘は歳を重ねるごとに、さらに体にフィットする洋服みたいな感じだな。

 27歳の相談者は、女房が稼ぎ、そのカネで生活していることに後ろめたさを感じているようだが、そんなことを気にする必要はない。会社勤めをしてカネを稼ぐのだけが男の務めではない。立石のように晩飯つくりを遊戯三昧の対象にすれば、『笑う食卓』のような傑作を生み出すことができる。

 相談者は「ヒモのようなもので」と言い、ヒモを良くないもののように捉えているようだが、これは大いなる誤解だ。ヒモというのは生ぬるい生き方ではない。群れを率いるライオンのオスは、メスに狩りをさせて寝ているだけで、人間ならヒモ同然だが、オスには子孫を残し、群れを外敵から守るという大事な役目がある。その役割を果たせなくなれば、メスたちからお払い箱にされる。

 メスに食わせてもらうヒモというのは、常にメスたちから有用であると認められ続けなければいけないんだ。サラリーを持って返ってくるオスは会社に出勤している限りは安泰かもしれないが、組織に所属しないヒモは、食事や掃除なんかの家事とベッドの上での仕事でメスを満足させられなくなれば簡単に捨てられる。相談者の立場は生ぬるい幸福ではなく、崖っぷちの試練に近いと思うね。

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「【214】ヒモは毎日が崖っぷちの戦いである」の著者

島地 勝彦

島地 勝彦(しまじ・かつひこ)

コラムニスト

「週刊プレイボーイ」の編集長として同誌を100万部雑誌に。各誌編集長を歴任後、2008年11月集英社インターナショナル社長を退き、現在はコラムニスト。シガーとシングルモルトとゴルフをこよなく愛する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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