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【270】別れの手紙には感謝の言葉をしたためなさい

2016年6月4日(土)

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別れの手紙を書くための便箋を教えてください

Q  27歳独身、女です。とても大切な男性に手紙を書きます。別れの手紙です。今までの感謝の気持ちを込めて、シマジさんが常々おっしゃるように万年筆で一文字一文字丁寧にしたためようと思います。そこでアドバイスいただきたいのですが、万年筆と相性の良い便箋は、何かおすすめがございますか? 彼は40代半ば。仕事柄、シマジさんのように多種多様の「良いもの」を見て触って熟知している男性なので、封筒や便箋もとびきりのものを用意したいのです。よろしくお願いいたします。

(27歳・女性)

シマジ:ミツハシ、この相談文はなかなかのものじゃないか?

ミツハシ:「とても大切な男性に手紙を書きます。別れの手紙です」なんていう言い回しはちょっと素人離れしていますね。

シマジ:先日、伊勢丹メンズ館のサロン・ド・シマジで万年筆を買ってくれたお客がいたんだ。40代の男性でペリカンのM800を買ってくれた。その条件として「シマジさん、ラブレターの添削をしてください」と頼まれてね。買ったばかりのペリカンでラブレターを書くから、それを目一杯ロマンチックなものにしてくれというわけだ。

ミツハシ:ラブレターの添削ですか。また、面倒な仕事を引き受けましたね。

昔、渋谷に恋文横丁というのがあってね

シマジ:俺は忙しい。ミツハシが代わりに添削するんだよ。

ミツハシ:私だって忙しいです。引き受けたものは自分で何とかしてください。

シマジ:昔渋谷に恋文横丁というのがあってね。

ミツハシ:話を変えましたね。

シマジ:日本駐留の米国兵と恋仲になった日本人女性のラブレターを代筆する店が軒を並べていた。客の大半は街娼で、ラブレターは言ってみれば商売道具のようなものだ。代筆する方の英語力も怪しいものだったらしく、「よう、お主は元気でいるか? あたしはお主に会えずに悲しいぞよ」なんていう妙チクリンな英語だったらしい。だから気楽にやれ。

ミツハシ:何が「だから」ですか。私は添削なんかしませんからね。

シマジ:そこへ行くとこの相談者は立派なものだ。添削の必要はない。きっと心に残る別れの手紙をしたためられるだろう。

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「【270】別れの手紙には感謝の言葉をしたためなさい」の著者

島地 勝彦

島地 勝彦(しまじ・かつひこ)

コラムニスト

「週刊プレイボーイ」の編集長として同誌を100万部雑誌に。各誌編集長を歴任後、2008年11月集英社インターナショナル社長を退き、現在はコラムニスト。シガーとシングルモルトとゴルフをこよなく愛する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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