• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

【33】テレビを見ながら独酌をしているとバカになる

2015年10月3日(土)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

1人で記憶をなくすほど酒を飲み、自己嫌悪に陥ります

Q いつも楽しく拝読しております。おかげで最近は、今先生、シバレン先生、開高先生の作品も手に取るようになりました。さて、相談です。独身一人暮らしなので、一人酒が多いのですが、記憶がなくなるまで飲んでしまうことが度々あります。そして、酔っぱらっていろんなところへ電話をしたりして、翌日ものすごい自己嫌悪に苛まれます。そのときは、次からは気をつけようと思うのですが、気づくとまた同じことをやっています。格好良く一人酒を愉しむための良きアドバイスをお願いします。

(29歳・男性)

シマジ:相談者は開高さんの作品を手に取るようになったそうだから、開高さんの晩年の一人酒を教えよう。開高さんはよく一人で飲んでいたからね。

 文豪は週に3回ほど、夕方になるとプールに出かけた。「バックペインが楽になる」と言っていたね。今考えると、背中の痛みは癌が原因だったのだろう。最初は300mくらいしか泳げなかったらしいが、続けるうちに毎回2000mくらい泳ぐようになった。

 いつもプールに向かう途中の肉屋でコロッケを10個くらい買っていた。泳ぎ終え9時過ぎには自宅に戻りすぐに床に就く。そうすると夜中の12時半頃には目が覚める。そこから闇シリーズを執筆しようとして原稿用紙に向き合うのだが、悲しいかな文豪の万年筆の先にはもう天使も悪魔も宿らない。

 文豪はおもむろに書棚からウォッカの瓶を取り出し、大きなグラスに注ぎ込む。「何も足さない、何も引かない」を地で行く飲み方で、水も用意せず、なみなみと注いだストレートのウォッカをぐびぐびと干していく。やがて泥酔して意識をなくして眠り、翌朝7時か8時頃に目を覚ます。

 その頃、(詩人の)牧羊子夫人とは冷戦状態だったから、朝飯など用意されていない。昨晩買ったコロッケを食いながら、その辺りに置いてある冒険小説を読む。編集者が来ることもあれば、来ないこともある。そして夕方を迎え、文豪はまたプールに出かけてコロッケを買うんだ。

ミツハシ:聞いているだけで喉のあたりが苦しくなってきます。

シマジ:シバレン(柴田錬三郎)さんも今東光大僧正も独酌はやらなかった。もともと、酒をそれほど飲まない人だったからね。だが、開高さんは酒が強く独酌の人だった。相談者の記憶を失う独酌は、開高さんの、我が身を痛めつけるような苦しい独酌とは違うだろう。相談の文面からは、何かに押しつぶされそうになっている感じはしない。俺は別段、自己嫌悪など感じなくてもいいと思うがね。

 俺の知り合いに、この相談者のように酔うと電話をかけたがる男がいるんだ。随分昔だが、一緒に泊りがけでゴルフに行ったときに、この男は酒屋で買い込んだ日本酒の「あらばしり」をうまいうまいと飲み続け、べろべろに酔っ払い、次々と東京在住の女友だちに電話をかけ始めた。「実は俺、一関(岩手県)にいるんだ。今からクルマを飛ばして来いよ」といった調子で、訳の分からないことをわめき散らすんだ。

ミツハシ:私にもおんなじことをやる先輩がいます。あれ迷惑ですよね。

シマジ:いいんじゃないか、それくらいは。

コメント2件コメント/レビュー

テレビを見ながら、ではなく「お笑いを見ながら」とすべきでしたね。オペラのDVDは薦めているのだから。(2016/10/04 07:01)

「再録 乗り移り人生相談」のバックナンバー

一覧

「【33】テレビを見ながら独酌をしているとバカになる」の著者

島地 勝彦

島地 勝彦(しまじ・かつひこ)

コラムニスト

「週刊プレイボーイ」の編集長として同誌を100万部雑誌に。各誌編集長を歴任後、2008年11月集英社インターナショナル社長を退き、現在はコラムニスト。シガーとシングルモルトとゴルフをこよなく愛する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

テレビを見ながら、ではなく「お笑いを見ながら」とすべきでしたね。オペラのDVDは薦めているのだから。(2016/10/04 07:01)

いつも楽しく勉強させて頂いております。
自分が大したもんじゃないと認めることは
万人に必要なことかと思いますが
特に若く優秀な方々の中には難しいと感じていることかも知れないですね。

年を重ねることで、成長の仕方や質、人間的な幅が拡がったり
いろいろな楽しみを見つけ、人として豊かになれたらありがたいです。
これからも人生相談を楽しみにしています。(2015/10/21 12:28)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長