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ゆっくり走ることが鉄道の新商品になる

美しいデザインよりも楽しいデザイン

  • 木崎 健太郎=日経ものづくり

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2015年9月30日(水)

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 2015年8月に営業運転が始まったJR九州の「JR KYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」、2013年に運行を開始した豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」などをデザインした水戸岡鋭治氏。著書「鉄道デザインの心 世にないものをつくる闘い」の刊行記念イベントで、これらの車両のデザインや、デザインに対する考え方について語った(第1回はこちら)、(第2回はこちら)。

 水戸岡氏は「鉄道の価値は、速く走ることとは限らない」と、通常とは逆の発想を語り始める。利便性と経済性の追求だけからでは、決して得られない発想だ。

遅く走ることも難しく、価値がある

 私は勉強嫌いで、この歳になってもう遅すぎるんですが、なぜ学問を身に付けるべきなのかがようやく分かってきてきました。自分の好きなものを見つけるためです。自分の適性を見つけるために勉強するんです。勉強すればするほど、知れば知るほど自分の適性が分かってくるんです。適性が分かると、楽しいからもっと勉強して、さらに好きになるわけですよね。私にも、「これを見なさい」と言って映画や本を教えてくれる人がいて、そういうものをしっかり見たり読んだりしないといけないんですが、なかなかできていません。

「JR KYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」

 論語で言う「知・好・楽」、知って、好きになって楽しむことがものすごく大事です。そのためには、私は全然できなかったんだけど、学問をしっかりしないといけない。人は、好きなものを見つけられれば、もうそれだけでハッピー。お金を持つとかではなくて、好きなことに出会えることが一番幸せだと思うんです。

 ですから子どもには、自分の好きな、適性にぴったり合った仕事に就いてほしいです。でも、利便性と経済性を追求すると、そうなってこないんです。仕事の種類が減って、どんどん決まりきった、利益を産む仕事ばかりになっていく。子どもたちはいろいろな適性を持っているのに、一部の適性にしか合わない職業ばかりになってしまうんです。

 豊かな国とはたくさんの職業がある国で、効率は悪いけれども、多くの人が幸せな時間をつくれる国だと思います。日本はこれまでいろいろと発展してきましたが、「この先どっちに行くの」っていうところに来ています。利便性と経済性を追求してお金持ちになっていけばそれで幸せになれるんじゃないのっていう考えと、いやそうじゃなくて、もっと楽しいことをしながら、お金はたくさんはないけど豊かになれるっていう考えと、どっちを選ぶかというところです。

 私たちは車両を造るにしても、いかに遅く走れるかっていうことが大事なんです。それが一番難しいこと。いかに速く走るかも難しいけど、遅く走ることも大変難しくて、このどちらも商品価値が高いんです。

沿線の景色は“博物館”

 日本はローカルな地域で、十分ゆっくり走れるところなのにスピードアップしようとかまだしているところがたくさんあります。そうではなくて、ゆっくりゆっくりと、1駅を1時間かけて走ったらどうでしょう。時速5キロや10キロで、人が歩くぐらいゆっくり走る列車は、それは楽しいですよ。だって花は1本ずつ見えるし、そこには虫も見えるし、窓が開いている家は中にある家具まで見えてくるんだから、その景色はまさに博物館ですよね。

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