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無保冷ワクチン200万本、違法販売5年野放し

監督管理職員500人では事件の芽を摘めない

2016年4月1日(金)

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 2014年末、山東省“済南市”の“済南市公安局”は、薬品の違法販売グループに対する重点取締りを行った際に、薬物違法売買の前科を持つ“龐紅衛(ほうこうえい)”という名の女性に犯罪の臭いを感じた。済南市公安局はその後も継続的に調査を行い、十分な証拠を確保した上で、2015年4月に龐紅衛が済南市“天橋区”内に賃借しているアジトを急襲し、多数のワクチンや関係書類を押収した。押収した関係書類を分析した結果、このアジトから保冷管理されていない大量のワクチンが多数の一級行政区(省・自治区・直轄市)へ流出していることを発見したのだった。済南市公安局は即座に全国の中都市20か所に対して捜査協力を要請し、ワクチンの流通経路と最終ユーザーを調査するよう依頼した。

全国24の一級行政区で違法販売

 それから10か月後の2016年2月2日、済南市公安局はメディアに同事件を公表し、同事件がすでに送検され、現在検察当局によって起訴前の取調べが行われていると発表した。この公表から1か月半後の3月18日、中国政府“国家食品薬品監督管理総局”(以下「国家食薬管理総局」)は定例の記者会見の席上、国食薬管理総局は同事件に強い関心を持っており、すでに“山東省食品薬品監督管理局”(以下「山東省食薬管理局」)および同省の公安部門と「衛生・計画出産」部門に対してワクチンの出所と流通先の調査を命じており、調査結果が判明次第、速やかに公表されると述べた。

 これを受けて山東省食薬管理局は、翌19日に『龐紅衛などによるワクチンの違法販売事件関連の手掛りに関する告知』を公布して、事件に関する中間報告を行った。その内容は、“済南市食品薬品監督管理局”(以下「済南市食薬管理局」)が公安部門に協力して、龐紅衛などによるワクチンの違法販売事件に関して把握した情報によれば、龐紅衛などにワクチンや生物学的製剤を供給していた上流の手掛りが107件あり、龐紅衛などからワクチンや生物学的製剤を購入していた下流の手掛りが193件あり、その範囲は全国24の一級行政区に及んでいるというものであった。また、これとは別に「ワクチン売買に関与した容疑者300人のリスト」も添付されていた。

 上述した全国24の一級行政区には、安徽省、北京市、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、河南省、黒龍江省、湖北省、吉林省、江蘇省、江西省、重慶市、浙江省、四川省、陝西省、山西省、山東省、湖南省、遼寧省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区が含まれている。中国は22省・5自治区・4直轄市からなり、一級行政区は31あるから、一級行政区全体の77%以上の地域が上流および下流の手掛りに含まれていることを意味する。

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「無保冷ワクチン200万本、違法販売5年野放し」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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