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西洋格闘技に20秒で惨敗した中国伝統武術の現実

「伝統武術はどれも詐欺だ」…勝者の挑発、真の意味は

2017年5月12日(金)

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 さて、上記の試合はインターネットの“視頻(動画)”サイトを通じて全国に配信された。徐暁冬は従前から「太極拳を始めとする伝統武術はどれも詐欺だ」と公然と言い募り、“武術打假(武術の偽物を撲滅する)”と述べて、中国の伝統武術に対し宣戦布告を行っていた。これは伝統武術を飯の種としている武術の道場主や師範たちにとって、生活を脅かす由々しき問題である。危機感を覚えた武術家たちはネット上で徐暁冬と論戦を繰り広げたが、確固たる信念を持って発言する徐暁冬と激論を戦わせてもらちが明く話ではない。そうこうするうちに、徐暁冬に戦いを挑む者が現れた。これは徐暁冬にとって「飛んで火にいる夏の虫」であり、望む所であった。挑戦者として名乗りを上げたのが、成都市で雷公太極拳の道場を営む太極大師こと雷雷であった。雷雷が徐暁冬の挑戦者として名乗りを上げ、4月27日に成都市で“約架(決闘)”試合が行われることはネットを通じて全国に広く知れ渡っていたのだった。

西瓜を果肉を破壊、鳩を飛べなくする秘技

 「伝統武術はどれも詐欺だ」と断言した徐暁冬が、決闘試合では雷雷をわずか20秒でKOした。徐暁冬は試合前に「“太極拳不堪一撃(太極拳はひとたまりもない)”」と豪語していたから、言葉通りの結果になった。徐暁冬が雷雷を挑戦者に選んだのには理由があった。それは2015年11月24日に国営テレビ局“中央電視台(中央テレビ)”のチャンネル4「体育在線」の特別番組「“体験真功夫(本当のカンフー体験)”」の楊氏太極拳特集に成都市在住の武術家として雷雷がゲスト出演したことに起因する。

 同番組の中で、雷雷は中国の十大武術師範の1人と位置付けられ、「雷雷は北京出身で、タイの格闘技“泰拳(ムエタイ)”と朝鮮の“跆拳道(テコンドー)”を学んだ後に楊氏太極拳に転向した。ムエタイとテコンドーの段位は低かったものの、実戦に長けていたため、その経験を活かして太極拳で格段の進歩を遂げ、今では楊氏太極拳の創始者“楊露禅”の継承者になった」と紹介された。番組では雷雷の道場の練習風景を紹介した後に、雷雷が中国武道の“形意拳”を学んだ外国人エリックと練習試合を行い、雷雷がエリックを圧倒して勝利した。次に雷雷が丹田に集めた気を西瓜に向けて吐き出しながら軽く西瓜の表面を押さえると、表面には何ら変化がないのに、中身の果肉は破壊されていた。その次に雷雷は“雀不飛”という秘伝の技に挑戦する。これはハトが飛ぼうとして脚を踏ん張る瞬間に、その力を消失させて飛ばせなくするという秘技で、雷雷はいとも容易にハトが飛翔するのを抑制してみせた。

コメント30件コメント/レビュー

民主主義のない中国の武術団体が集金マシンであることは自明で、それを守るために幹部が慌てて権威失墜を阻止しようとするのは当然の行動。本物なんてないだろう。だから、どんなものでも本物が現れると必死に否定して自己の正当性をわめき散らす。共産党の正当性も同様。(2017/08/14 13:51)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「西洋格闘技に20秒で惨敗した中国伝統武術の現実」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

民主主義のない中国の武術団体が集金マシンであることは自明で、それを守るために幹部が慌てて権威失墜を阻止しようとするのは当然の行動。本物なんてないだろう。だから、どんなものでも本物が現れると必死に否定して自己の正当性をわめき散らす。共産党の正当性も同様。(2017/08/14 13:51)

柔道は剣術に勝てない、と聞いてます。棒切れ一本あれば剣士は強い。ボクシングの腕も同じことでは?拳法の技に高速顔面ストレートをよける技はないと思う。つまり、分野が違うだけ。打ちのめせば強い!ということなら雷雷さんの負け。伝統武術のよさは、打ちのめすことだけにあるのではないし、そんな武術なら老若男女が楽しんではいないでしょう。何より、武術は美しいです。(2017/05/22 15:03)

コメントを見ていると、日本には格闘技好きが多いことがわかります。今ある格闘術の多くはショーとして見せるか。スポーツとして楽しむためのものです。そうしないと、教える人(師範?)が収入を得ることができず生活できないからです。この記事で紹介された例も同じだと思います。権力を背景に肩書を得て弟子を集めるか、実際に戦って勝つことで、自らの強さをアピールして弟子を集めるかの違いです。まあ、どうせ教わるなら、肩書より実績のある人の方がよいと考える人が多いとは思います。
△コメント欄で殺人技を継承しているかの議論がありますが、私個人は、まだ生き残っている人はいるのではないかと思います。ただ、継承者が居る可能性は低いです。それは先に述べたように収入が得られないからです。銃などの飛び道具による戦争が一般的になる前は、殺人技は戦士として有用だったので、それを身に着けようとという人も多かったと思われます。しかし、今は、ショーとして見せる以外役に立ちません。ショーとして見せるには派手さが必要ですが、沢山コメントにあるように、実用的なものは地味なはずです。そちらの方が有利ですから。名前は忘れましたが、昔まったく人気がなかったすごく強いプロレスラーが居たそうです。なぜ人気がないかというと、関節技が得意だったからです。関節技は戦いでは強力ですが、見た目は地味そのもの、なぜ相手がギブアップしたかわからないこともあると思います。それではショーにはなりません。
△本当は、伝統的な殺人技の特徴を研究して、今のスポーツ、柔道やレスリングに取り入れることができれば選手強化には役立つのですが、日本のスポーツ界は頭まで筋肉な人が出世することが多いので、あまり望みはないですね。
△一つ補足、殺人技が打撃系という発想は、ボクシングやK-1などショーとしての格闘技に影響された結果だと思います。実際の戦争では、相手を行動不能にして(ここまでが秘技ですかね)、とどめは刃物というのが一般的だったと思います。(2017/05/17 21:45)

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長