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「留守児童」に影落とす母親の長期不在

920万人は1年以上親と会えず、200万人は1人住まい

2015年6月26日(金)

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 6月18日、北京市で公益活動組織“上学路上児童心霊関愛中心(“上学路上”児童心理擁護センター)”が『中国留守児童心理状況白書(2015)』(以下「白書」)を発表した。これは同センターが調査を呼びかけ、“北京師範大学”心理学教授の“李亦菲”が中心となって完成させた調査報告書である。

 『“上学路上(通学の路で)”』というのは2004年9月に上映された中国映画の題名である<注1>。この映画は寧夏回族自治区“同心県”に住む貧しい農家の小学4年生の少女が9月の新学期に学校へ行くために奮闘する物語である。――学期末の最終日に校長先生が全校生徒に、9月1日の新学期初日に学校の諸雑費として1人当たり24.8元(約500円)を納入するように言い渡す。少女には小学生の弟が2人いるので、9月1日に納入する諸雑費は3人分で74.4元(約1500円)になる。しかし、貧しい彼女の家にとって74.4元を一度に捻出することは困難である。もし諸雑費が手当てできないなら、学校を中退するしかない。74.4元を稼ぐにはどうしたら良いか。思案の末に、彼女は1人で100キロメートルも離れた土地へ枸杞(クコ)の実採りのアルバイトに出かけ、夏休みの終わりに目標の金額を稼いで家に帰ってくる。その日はカネが無いために小学校を中退した姉が嫁いで行く日だった――。

<注1>同映画は日本未公開で上映されていない。

 この映画は2005年2月にベルリン映画祭で金熊賞を受賞するなど好評を博し、2005年3月には中国政府の“3部委”(教育部、文化部、国家広電総局、中小学生映画教育協調工作委員会)の推薦を受けた。この映画に感動した人々が中心となって児童の義務教育を支援しようと映画の題名を冠して組織されたのが「“上学路上”児童心理擁護センター」(以下「児童センター」)である。

再発止まらぬ「留守児童」事件

 さて、児童センターが発表した白書の標題にある“留守児童”とは、両親あるいは片親が長期の出稼ぎに出て実家に取り残された子供を意味する。その中には両親不在で祖父母など年配の肉親に育てられている者もいれば、残留した片親に育てられている者もいる。そればかりか、子供だけで生活している者もいる。近くの親戚や隣り近所の住人が彼らの生活を折りに触れ支援してくれていればまだよいが、孤立無援で子供たちだけで生活しているケースもあるのだ。

 今年6月9日に貴州省“畢節市(ひつせつし)”で発生した留守児童の兄妹4人が農薬自殺した事件では子供たちが孤立無援で生活していたし、2012年11月16日に同じ畢節市で発生した留守児童5人がゴミ箱の中で一酸化炭素中毒死した事件では5人中の4人は両親が出稼ぎに出ていて不在だった<注2>。両事件は中国国内に約6100万人いるといわれる留守児童に起こった悲惨な事件として注目されると同時に、留守児童に対する心のケアの必要性を強く認識させた。2012年11月の事件が発生した時も留守児童に関わる事件の再発防止が強く叫ばれたが、その2年半後に同じ畢節市で留守児童の事件は再び発生したのだった。

<注2>両事件の詳細は本リポートの2015年6月19日付「親の出稼ぎ中に4人兄妹が農薬自殺した悲劇」および2012年11月30日付「ゴミ箱の中で死んだ5人の浮浪児が投げかけた課題」参照。

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「「留守児童」に影落とす母親の長期不在」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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