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鉱山事故偽装で賠償詐欺、17人殺害74人起訴

銀熊賞映画『盲井』より残酷な中国の現実

2016年7月1日(金)

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 6月6日、内モンゴル自治区の検察当局は、5月30日に内モンゴル自治区“巴彦淖尓(バヤンノール)市”検察院が鉱山事故に見せかけた故意殺人による賠償金詐欺事件の容疑者として74人を同市“中級人民法院(地方裁判所)”に対して起訴したと発表した。この発表を受けて、中国メディアは同事件を「いわゆる“盲井式殺人”事件」と大々的に報じた。

銀熊賞映画になぞらえて

 「盲井式殺人」とは何か。中国語の“盲井”とは鉱山の盲立坑のことで、立坑の中で地表に口を開いていないものを指す。この事件を中国メディアが「盲井式殺人事件」と報じたのは、2003年に中国と香港で上映されて話題となった中国映画『盲井(Blind Shaft)』に起因している。同映画は2003年の第53回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞した李楊監督の作品で、2002年に中国で「老舎文学賞」<注1>を受賞した“劉慶邦”の小説『神木』を脚色したものである。

<注1>“老舎”は現代中国を代表する作家で、文化大革命の初期に紅衛兵により反革命分子として攻撃を受けたことで憔悴し、後に入水自殺を遂げた。

 映画『盲井』は、鉱山で働く2人のならず者がカネ欲しさに、立坑の中で同僚の鉱夫を殺害して賠償金を騙し取った末に、立坑の中で仲間割れして無念の死を遂げる話である。その概要は以下の通り。

 無許可の鉱山で働く農民の“唐朝陽”と“宋金明”はカネを稼ごうと悪事を計画する。それは、働きたくてもつてがない他郷から来た農民に近付き、親戚になりすますことを条件に自分たちが働く鉱山で働けるようにしてやり、立坑の底で働いている最中に鉱山事故を装って農民を殺害するという筋書きだった。鉱山事故を監督官庁に届け出れば無許可営業が露見するから、鉱山主は死者の家族に賠償金を支払うことで示談にしたい。それが2人の狙い目で、彼らは適当に探した人物を死者の家族と偽って鉱山主に会わせ、賠償金の支払いを受けることで示談に応じさせる。賠償金を受け取ったら少額を手間賃として偽家族に支払い、残りのカネは全て2人で山分けした。

 最初の計画が上手く行き、大金を稼いで大いに遊んだ2人は、鉄道駅で次の獲物を探す。そこに現れたのが農村から出て来た16歳の“元鳳鳴”だった。母親に死なれ、父親に捨てられて身寄りのない元鳳鳴は彼らにとって絶好の獲物だった。2人は唐朝陽の甥に成りすませば仕事を紹介してやると言って元鳳鳴に近付き、3人で別の鉱山へ鉱夫として入り込む。職を得て喜んだ元鳳鳴は懸命に労働に励んだが、唐朝陽は無邪気で嫌みのない元鳳鳴に徐々に親しみを覚えるようになる。いよいよ立坑の底で元鳳鳴の殺害を決行する日、宋金明は殺害を渋る唐朝陽をつるはしで殴り殺した後に元鳳鳴を殺害しようとした。あわや宋金明のつるはしが元鳳鳴の頭上に振り下ろされようとした時、死んだはずの唐朝陽が立ち上がり、背後から宋金明の頭上につるはしを振り下ろした。

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「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「鉱山事故偽装で賠償詐欺、17人殺害74人起訴」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト