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洪水を防げぬ三峡ダムで私腹を肥やしたのは誰か

長江氾濫で広がる被害、国家的愚行の深刻

2016年7月22日(金)

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 7月17日付の“中国天気網(ネット)”は、「増水期に入って以来、“長江(=揚子江)”流域では降水量がすこぶる多く、多数の地域で累積の降水量が平年同期の水準を遥かに上回っている。昨日(15日)から大雨がまたもや長江流域を襲っているが、この雨は17日まで持続し、今日、明日の両日、南部地方の5省では一部地区で大雨または暴風雨になる可能性があり、現地では大雨がもたらす二次災害の警戒と洪水防止活動の強化に注意が必要」と報じた。

 最近の1か月間、長江流域では累積の降水量が多いだけでなく、降水日数も多かった。特に湖北省西南部、湖南省西北部、江蘇省西部、安徽省南部、浙江省北部などの長江の中・下流域では、6月15日から7月14日までの1か月間に降水日数が20日を上回った。このうち、湖北省“武漢市”では当該1か月間の降水日数19日のうち6日が大雨で、降水日数に対する大雨日数の比率は32%に達した。また、同様に安徽省“合肥市”では降水日数18日のうち7日が大雨で大雨日数の比率は39%、江蘇省“南京市”では降水日数17日のうち9日が大雨で大雨日数の比率は53%に達した。

洪水頻発の長江

 それでは長江流域の降水量はどれほどなのか。7月15日付の“中国気象網(ネット)”は「梅雨入り以来、長江流域の平均降水量は1949年以来同期で最多」と題して次のように報じた。

【1】今年の梅雨入り(6月19日)から7月13日までの長江流域における平均降水量は249mmで1949年以来最も多く、平年および1998年<注1>の同期に比べてそれぞれ46%と17%多かった。目下、長江の中・下流域は新たな暴風雨の影響を受けており、梅雨が依然として続くものと予想されることから、長江の洪水防止の状況は楽観を許さない。

<注1>中国では1998年の夏に長江、東北地方の“松花江”や“嫩江”などの主要河川で大規模な洪水が発生し、死者4150人、直接経済損失2551億元(約4兆816億円)を出した。この時に長江で発生した洪水は20世紀で2番目の規模で、1954年に次ぐものだった。

【2】今年、長江流域の増水期入りは早く、流入する水量が多く、増水が急激であるなどの特徴がある。長江流域でも中・下流域の平均降水量は298mmと突出して多く、平年および1998年の同期に比べてそれぞれ65%と47%多く、1954年以来最も多かった。江蘇省南部と浙江省北部の境界にある太湖の流域では、梅雨入り以来の平均降水量は340mmで平年同期に比べて76%多く、1999年以来最も多かった。 

 上記を総合してみると、今年の梅雨入り以来、長江の中・下流域では豪雨に見舞われる日数が多く、平均降水量は298mmに達し、平年同期の平均降水量を遥かに上回ったのみならず、1998年夏に大規模洪水が発生した時の平均降水量をも大幅に上回ったという事が分かる。この結果がどうなったのかと言うと、長江の中・下流域に連日のように降った雨水は一斉に長江へ流れ込み、長江沿いの各地で氾濫による大規模な洪水を発生させた。

コメント11件コメント/レビュー

三峡ダムの貯水容量と洪水期の河川流入量を比べれば、洪水調節能力はほとんどないことは明白ですが、洪水防御機能を「あともう少しで洪水が下流の堤防を越流すること防ぐことができる回数が増える」と当事者が説明したのを「すべての洪水を防ぐことができる」と聞き手が誤解しているかもしれません。
公共事業の便益をゼロかイチかで評価することは意味がありません。(2016/07/23 10:38)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「洪水を防げぬ三峡ダムで私腹を肥やしたのは誰か」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

三峡ダムの貯水容量と洪水期の河川流入量を比べれば、洪水調節能力はほとんどないことは明白ですが、洪水防御機能を「あともう少しで洪水が下流の堤防を越流すること防ぐことができる回数が増える」と当事者が説明したのを「すべての洪水を防ぐことができる」と聞き手が誤解しているかもしれません。
公共事業の便益をゼロかイチかで評価することは意味がありません。(2016/07/23 10:38)

洪水を防げないというのは言い過ぎだと思う。
使い方で緩和・防ぐ事はある程度可能なのですから。
発電や利水を優先して普段から貯水率を高めに設定しているのではないだろうか?
また、大雨時予想から実際の降雨に向けての事前放水で調整とかも出来ていないのだろう。
それに、黄河が干上がる代わりに長江流域の水量が増えているような
気候変化により洪水を防ぐ効果が小さくなっているのではないだろうか?(2016/07/23 00:10)

治水と利水の矛盾する関係、ってことですね。

洪水を防止するために使うなら簡単です。
ダムを空っぽにして大雨が来るのを待機してればいいのです。

でも利水したい。用水や発電に使うためには貯めなきゃいけません。
最大限利水するなら、無駄に放流せず可能な限り溜め込むのが良いわけです。

この治水と利水のバランスが難しいんでしょう。
先年の鬼怒川洪水でも、上流のダムはギリギリまで頑張りましたが、元々利水のために貯めていた部分もあり、放流せざるを得ませんでした。洪水を起こす最後のとどめになりましたね。
一応日本では、夏期は貯水量を減らす制御をしていますが、渇水の備えも必要で、なかなか予測もできずで難しいようです。

三峡ダムと長江では規模も桁違いで、予測もよりいっそう難しいでしょうが、利水優先の政策となってるでしょうかね。
洪水対策を真面目にする気があるなら、雨期の前にあらかじめ放流しておくものですが、話を聞く限りでは利水用に貯めることを優先のように思えます。
万が一にもダムが枯渇し、発電できなくなったら大変だということなのかもしれませんが、目的を見失ってる感があります…。

私腹を肥やすために作られたランドマークかもしれませんが、せっかくあるんだから人々の幸福のためにより良く使って欲しいものです。(2016/07/22 19:25)

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