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人民解放軍、徴兵検査「不合格率57%」の影

忍び寄る一人っ子政策と急成長の“後遺症”

2017年9月1日(金)

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7月、中国人民解放軍の建軍90周年を祝うパレードが内モンゴル自治区で行われた。精鋭兵士たちの陰には「57%の不合格者」たちが…(写真:ロイター/アフロ)

 中国の『兵役法』によれば、中国は徴兵制を敷いているが、志願者だけで新兵枠が満たされることから、1949年に中華人民共和国が成立してから今日まで強制的な徴兵は行われておらず、実質的には「募兵制」と変わりない。

 徴兵に応じた若者たちは“体検(身体検査)”に合格することによって、“中国共産党”が創設して指導する“中国人民解放軍”(以下「人民解放軍」)の兵士になることができる。人民解放軍は中華人民共和国の武装兵力であり、「国防を強固にし、侵略に抵抗し、祖国を守り、国民の心安らかな労働を守り、国家の建設事業に参加する」ことを任務としている。

 2017年4月時点における人民解放軍の兵員数は約230万人で、その内訳は、陸軍:160万人、海軍:23万人、空軍:40万⼈などであり、この他に“武装警察部隊”:66万⼈の存在があった。なお、陸軍は大幅な兵員削減が予定されており、近い将来に100万人を切るという。

“小鮮肉”は要らない

 しかし、国の要と言える重要な任務を担う中国人民解放軍兵士になるための徴兵身体検査(以下「徴兵検査」)で志願者たちの合格率が大幅に低下しているという。中国のSNS“微信(Wechat)”の公式アカウント「“中国民兵”」は8月18日付で、「今年の徴兵検査の不合格率は計測不能、その十大問題を暴露する」と題する記事を掲載した。同記事は中国政府“国防部”のウェブサイトにも掲載されたことから、事態の深刻さが見て取れる。その概要は以下の通り。

【1】今日、軍人は精神、能力、気概、人徳を持っていなければならない。未来の戦場では風に吹き飛ばされるくらいひ弱な“小鮮肉(かっこいい若者)”は必要ない。必要なのは戦えば必勝し、体力・気力ともに頑強な不屈の硬骨漢であり、彼らがその使命を全うして初めて家を守り、国を守ることができる。各地で行われている徴兵検査が終わりに近付いているが、そこでは安閑としていられない困った状況が出現している。

【2】今年は徴兵検査を受ける⼈数が各地の検査所で平均して増⼤したが、困ったことに徴兵検査の不合格率が上昇している。調査によれば、某市では徴兵検査の不合格率が56.9%に達し、人々を驚かせた。18~19歳の若者が徴兵検査で次々と不合格になっている現実を見ると、その理由を考えざるを得ない。その問題は何なのか、また、その病根は一体どこにあるのか。

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「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「人民解放軍、徴兵検査「不合格率57%」の影」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師