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遅きに失した「二人っ子政策」への転換

「一人っ子」で20億人回避も、国策「計画」手放せず

2015年11月6日(金)

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 10月26日から北京で開催されていた中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議(略称:5中全会)は10月29日に閉幕したが、その直後に発表された会議の決議事項を取りまとめた、漢字約6000字からなるコミュニケには以下の文章が含まれていた。

【原文】促進人口均衡発展, 堅持計劃生育的基本国策, 完善人口発展戦略, 全面実施一対夫婦可生育両個孩子政策, 積極開展応対人口老齢化行動。

【訳文】人口の均衡ある発展を促進し、計画出産の基本国策を堅持し、人口の発展戦略を完全なものとするために、一組の夫婦が出産してよい子供を2人までとする政策を全面的に実施し、人口の高齢化に対応する行動を積極的に展開する。

 この漢字57字で構成された文章こそが、中国共産党が1980年頃から今日に到るまで35年間継続して来た「1組の夫婦が出産してよい子供を1人だけ」とする“独生子女政策(一人っ子政策)”を完全に放棄して、「1組の夫婦が出産してよい子供を2人まで」とする政策(以下「二人っ子政策」)に転換する計画出産政策の画期的な方向修正を意味するものであった。

 中国政府は一人っ子政策によって約4億人の人口増を抑制することに成功したと、その成果を自画自賛しているが、その陰には多大な犠牲を強いられた庶民たちの悲しみがあった。そこには、2人目の妊娠そのものを断念したり、2人目の人工中絶を強いられたり、出産後に嬰児を間引く<注1>ことを余儀なくされた、数億人規模の女性たちが存在したのだった。

<注1>「間引く」とは、本来「口減らしのために嬰児を殺すこと」を意味する。

1973年計画は「子供2人、間隔4年」

 中国は35年間も継続してきた一人っ子政策を突如緩和して二人っ子政策に転換したかのように思えるかもしれないが、二人っ子政策の転換に到るまでには幾多の過程を経て来たのだった。また、中国が1979年に一人っ子政策の実施を決定したのは、そうせざるを得ない理由があったからである。一人っ子政策の実施から二人っ子政策への転換に到るまでの歴史を振り返って見ると以下の通り。

【1】中国大陸は1937年7月から1945年9月までの日中戦争と1946年6月から1949年12月までの国共内戦(中国国民党と中国共産党による内戦)による戦火を受けて疲弊していた。内戦に勝利した中国共産党は1949年10月1日に北京で中華人民共和国(以下「中国」)の成立を宣言したが、国土は荒れ果て、国民は衣食住にも事欠く極貧状態にあった。統計によれば、1949年末の人口は5億4167万人とされている。

【2】その後の中国は経済の回復、社会の安定、医療条件の改善、国民生活の向上、死亡率の大幅低下などにより、人口は飛躍的に増大した。人口は、1964年末に7億人、1969年末に8億人を突破し、1970年には8億2992万人となった。しかしながら、経済は停滞して一向に改善の兆しがなく、中国は国民の衣食住に対する要求を満足させることすら困難な状況に陥っていた。そこで人口抑制を図ろうと打ちだされたのが、1973年に提起された国家としての全面的な計画出産政策、「晩婚、1組の夫婦に子供は2人、出産間隔を4年前後空ける」であった。

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「遅きに失した「二人っ子政策」への転換」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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