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なぜ中国のスーパーから淡水魚が突然消えたのか

「禁止薬物検査」告知で浮かび上がった活魚売場の闇

2016年12月9日(金)

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 2016年11月19日、“北京物資学院”と“中国商業法研究会”が共同で主催する「第11回中国経済・法律フォーラムおよび市場流通法制フォーラム」が、北京市“通州区”にある北京物資学院で開催された。このフォーラムで中国の環境汚染に関する講演を行った“首都経済貿易大学”法学部教授の“高桂林”は、中国が直面する土壌汚染について次のように語った。

毒の環境と毒の米と

【1】中国は世界の9%にも満たない耕地面積で、世界人口の22%以上の人口を養っているというのに、環境問題が絶え間なく出現し、土地面積は絶えず減少している。大多数の農村地区や貧困地区では、その食物は主として地元政府からの配給に頼っている。但し、統計によれば、中国では2015年の食糧不足が3000万トンにも達したのに、土壌の重金属汚染を受けた食糧が毎年1200万トンに上り、その損失額は毎年200億元(約3300億円)に及んでいる。

【2】2014年に発生した湖南省の“鎘米(カドミウム汚染米)”事件<注1>の例を見れば分かるように、現在中国が直面している土壌汚染の問題は、従来から言われている環境汚染や生態破壊といった問題だけでなく、土壌汚染に起因する食品の安全に関わる事故が大衆の健康に危害をおよぼしていることに直接的かつ具体的に反映されている。土壌汚染とは、重金属、農薬、抗生物質や持久性の有毒有機物などの汚染物質が土壌に入り、土壌の自浄能力を上回って、土壌の物理的、化学的、生物的な性質を改変させ、農産物の生産量や品質を低下させて、人体の健康に危害をもたらす現象を指す。

<注1>湖南省のカドミウム汚染米事件は2013年に発生し、翌2014年に改めて問題が発生した。2013年の事件については、2013年5月30日付の本リポート「広東省の人々を不安に陥れたカドミウム汚染米」参照。

【3】土壌汚染は潜伏性と持久性という特徴を持ち、汚染物質が一旦土壌に入ると、土壌の中で数世紀にわたってその属性を持続し、主として皮膚接触、汚染された水、汚染された農作物の3ルートを経て人体に入り、人体細胞に病変を発生させる。土壌汚染の特徴は、これと同時に食品の安全に関わる問題の防止に困難をもたらしている。土壌と大気、水などの自然資源が相互に作用して、汚染速度や範囲を激化させ、汚染処理時にその難度とコストを増加させる。例えば、ごみ埋め立て場が作り出した土壌汚染は雨水を通じて地面に浸透して地下水を汚染し、汚染された地下水は河川へ流入したり、灌漑を通じて灌漑地区の土壌を汚染させる。

 香港紙「東方日報」が2015年4月1日に報じた中国の土壌汚染に関する記事には以下の記述があった。

(1)湖南省は、古くから中国の米の主産地として知られ、“九州糧倉(中国の食糧倉庫)”<注2>と呼ばれていたが、今なお米の生産量は全国生産量の約60%を占めている。しかし、湖南省は非鉄金属の生産量が国内最高レベルの省の一つであることから、近年行われている非鉄金属の大規模な無秩序開発により土壌の重金属汚染が深刻化し、一部の米サンプルのカドミウム含有量は国家基準を21倍も上回っている。重金属が土壌に蓄積されると、土壌から放出されるまでには最短でも10年、長ければ100年が必要になる。

<注2>“九州”とは「中国全土」を指す。古来、中国は九つの州に分けられていたことに由来する。

(2)あるネットユーザーは、中国政府は口では「人権の第一要素は生存権だ」と言うが、もし庶民の「食べる」、「飲む」、「呼吸する」という基本的な生存活動すらも脅かされるなら、「人権はどこにあるのか」とインターネットの掲示板に書き込んだ。これを受けて、ある環境保護に関わる人物は次のように述べた。すなわち、“毒大米(毒の米=カドミウム汚染米)”だけでなく、中国の庶民が吸っているのは毒の空気であり、飲んでいるのは毒の水で、庶民は毎日24時間常に毒の環境の中に身を置いており、空気から土壌、さらには水まで汚染され、食道がんや肺がんを引き起こし、中国は総合的な汚染を形成している。

 こうして見ると、中国の環境汚染は極めて深刻な状況にあり、土壌汚染によって米を含む食糧や野菜、果物などの食品類は安全性に問題があり、人体の健康に危害をもたらす危険性が高いということが言える。しかし、問題はそれだけにとどまらないのだ。

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「なぜ中国のスーパーから淡水魚が突然消えたのか」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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