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「一人っ子」亡くし、56歳で出産した母の挑戦

「子供を失った家庭」は近い将来1000万軒以上に

2015年12月11日(金)

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 中国政府「国家衛生・計画出産委員会」(以下「国家衛計委」)の庁舎は、北京市の中心に位置する“天安門広場”から北西に直線距離で約5kmに所在する“西直門”に程近い場所にある。12月1日、その国家衛計委の門前に1000人近い人々が集まって陳情デモを行い、庁舎に向かって声を張り上げて要求を訴えた。その要求とは彼らの“養老(老後生活)”への保障を求めるものだった。

一人っ子を失った親たちの不安

 10月29日、中国共産党は過去35年間継続して来た「1組の夫婦が出産してよい子供を1人だけ」とする“独生子女政策(一人っ子政策)”を完全に放棄して、「1組の夫婦が出産してよい子供を2人まで」とする政策(以下「二人っ子政策」)に転換することを発表した<注1>。この計画出産政策の画期的な転換に衝撃を受けたのは、一人っ子政策に従って1人の子供をもうけたが、後に病気や事故で“失去独生子女的家長(一人っ子を失った親たち)”であった。

<注1>二人っ子政策への転換については、2015年11月6日付の本リポート『遅きに失した「二人っ子政策」への転換』参照。

 中国は1980年代初頭に一人っ子政策を開始したが、同政策が全国規模で本格的に実施されるに従い、違反者に対する懲罰的な強硬措置が取られるようになり、強制堕胎や不妊手術、さらには住宅の破壊、職場からの追放、果ては政策違反で生まれた嬰児の養育権はく奪などを強行することによって一人子政策の徹底を図った。これとは逆に、一人っ子政策に従って子供を1人しか生まない夫婦に対しては、国家から発給される“独生子女父母光栄証(一人っ子父母栄誉証明書)”に基づいて毎月5~10元(約100~200円)の“独生子女父母奨励費(一人っ子父母奨励金)”が、一人っ子父母栄誉証明書を受け取った月から子供が18歳になるまで支給されることになっていた。また、一人っ子父母には社会主義制度の下で、揺り籠から墓場までの終身的な“鉄飯碗(食いはぐれのない職業)”が保障されていた。

 ところが、中国共産党による突然の一人っ子政策から二人っ子政策への転換は、一人っ子父母という栄誉を無意味なものとするばかりか、一人っ子政策を遵守することによって約束されていた終身的な保障さえも反故にされる可能性が出てきた。大事な1人息子や娘が何事もなく成長して、両親の老後の面倒を見てくれるというならまだ救いはある。しかし、その1人息子や娘が病気や交通事故などにより早世して取り残された親たちにとって、政策転換は死活問題に直結する一大事である。そこで、一人っ子を失った親たちは12月に行われる二人っ子政策の法案審議を前にして、彼らの老後生活を保障する条項を同法案に盛り込むよう要請するべく国家衛計委の庁舎に押しかけてデモを行ったのだった。

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「「一人っ子」亡くし、56歳で出産した母の挑戦」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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