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X-Techのトレンドを正しく理解しているか

「軒先を貸して母屋を取られる」リスクを回避し、チャンスを生かせ

2015年11月2日(月)

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 中国経済の失速を発端として、世界の経済や市場に負の連鎖が広がった2015年。チャイナリスクはさらに強まり、混乱が拡大するのか。それとも歯止めがかかり、好転していくのか。安倍晋三政権が新たに打ち出した「新3本の矢」を軸とするアベノミクス第2幕の成否は…。

 不透明感が一段と増す中、来る2016年にスタートダッシュを決めるためにどのようなトレンドを押さえておけばよいのか。ボストン コンサルティング グループを代表するコンサルタントたちが「水先案内人」として4つのトピックスを挙げ、留意すべきポイントを解説する。今回は、デジタルやICTと既存産業が融合して生み出されるフィンテック(FinTech)やメドテック(MedTech)といった「X-tech」のインパクトとそれへの備えを詳しく解説する。

 2015年には、フィンテック(FinTech)をはじめ、メドテック(MedTech)、エドテック(EdTech)など、様々な産業分野においてデジタルやICT(情報通信技術)との融合によるさらなるイノベーションの可能性が活発に議論された。

 背景には、デジタルやICTが既存産業に溶け込み、あらゆるものが「つながる」状況がある。その結果、各産業で情報流通の非効率が急速に解消され、多くのビジネスチャンスが誕生しているのだ。2016年も、この動きは、例えば、農業分野のアグリテック(AgriTech)や公的分野のガブテック(GovTech)などを含め、対象の広がりと活用の深さを伴って、加速されるだろう。

 X-Techは事業者にとって、単に新しい技術の採用を通じて「より良いサービスを提供できるようになる」ことにとどまらず、「産業構造や競争原理そのものが再定義される」インパクトをもたらす動きだ。事業者はまずこの大トレンドを認識すべきである。

 これをチャンスとして捕捉するためには、次の3つのポイントを的確に見通すことが大切になる。

(1)エンドユーザーに提供し得る付加価値は何か
(2)その際、競合優位の源泉は何か
(3)その獲得のため、自分たちは何をしていけばよいのか

 一方で、リスクも存在する。フィンテックしかり、X-Techには特定の産業分野にひもづいているかのようなキーワードが冠されているが、実は、デジタルやICTの活用は、業種を超えた情報共有の仕組みの構築を通じて、異業種間競争を促進する側面がある。

 既存の事業者がこうした見通しを持つことなく新興ICTプレーヤーの先行技術を取り入れた場合、技術採用を契機に、競合優位の源泉となる顧客データを新興ICTプレーヤーに譲り渡すことになりかねない。対応を誤れば「軒先を貸して、母屋を取られる」状況が発生し得るのだ。

X-Techがエンドユーザーに実現する4つの付加価値

 リスクを回避しつつ、チャンスを実現するため、事業者に第1に求められることは、デジタルやICTの活用が、エンドユーザーに実現する付加価値を見通すことだ。技術が急速に進化する中、トレンドだけを追っていては翻弄されるのみとなる。事業者は、エンドユーザーに対する本源的な付加価値を定義できて初めて、X-techの実現を通じて達成すべきゴールを明確にできる。

 グローバル市場を対象に、デジタル・ICTの活用で、イノベーションを創出したサービスを分析してみると、付加価値の源泉は主に次の4つに分類される。

(1)サービサーモデル(モノを売る)
 米アマゾン・ドット・コムに代表される本モデルは、ユーザーデータに基づくリコメンデーションを付加価値に、物販収入で稼ぐ。

(2)マッチングモデル(つなげる)
 主に中小事業者とユーザーをつなげる仕組みを付加価値に、事業者から送客手数料を得る。宿泊施設を束ねる米旅行情報サイト「トリップアドバイザー」、タクシーを束ねる米配車アプリ大手のウーバーテクノロジーズなどが代表例だ。いったんビジネス基盤を構築すると、束ねる対象を拡げたり、サービサーモデルに浸み出したりする傾向がある。

(3)モニタリングモデル(知らせる)
 データを容易に取得できる新しいタイプのデバイス経由で収集したデータを付加価値に活用し、使用量や異常発生時のアラートを提示する。例えば、米グーグルが買収したスマートサーモスタット(サーモスタットは壁に付けたエアコンの温度を調節する装置)を提供する米ベンチャーのネストがこれに当たる。

(4)アドバイスモデル(アドバイスする)
 金融、医療、教育、法律などの領域で、ユーザーの特性や行動履歴に基づき、潜在ニーズを把握し、高度なアドバイスを実施する。サービス利用料とデバイス販売(モニタリングモデルのみ)が収入源になる。

 X-Techのゴールは、こうした付加価値類型を理解し、現在の事業の強み・課題を考え合わせることでイメージできる。その際には、競争環境を踏まえることも大切だ。サービサーモデルやマッチングモデルでは、既に大きな市場シェアを獲得したプレーヤーが、グローバルにビジネスを展開する例も見られる。背景には、リコメンデーションやマッチングの精度向上には規模の利益が効くことがある。

 一方、モニタリングモデルやアドバイスモデルでは、特定のプレーヤーが独占的なポジションを得た例は、国内外を含め、いまだに少ない。デバイス競争が初期段階にあること、求められるアドバイスの多様性が高いことなどが理由として考えられる。

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「X-Techのトレンドを正しく理解しているか」の著者

東海林 一

東海林 一(しょうじ・はじめ)

BCG シニア・パートナー

一橋大学経済学部卒業。米ロチェスター大学経営学修士。日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)を経て現在に至る。ハイテク・通信業界を中心に事業戦略、組織構造改革案などの策定と実行支援を手掛ける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長