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本格化する顧客接点革命

先取りしてレジェンドを作ろう

2015年11月5日(木)

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 中国経済の失速を発端として、世界の経済や市場に負の連鎖が広がった2015年。チャイナリスクはさらに強まり、混乱が拡大するのか。それとも歯止めがかかり、好転していくのか。安倍晋三政権が新たに打ち出した「新3本の矢」を軸とするアベノミクス第2幕の成否は…。

 不透明感が一段と増す中、来る2016年にスタートダッシュを決めるためにどのようなトレンドを押さえておけばよいのか。ボストン コンサルティング グループを代表するコンサルタントたちが「水先案内人」として4つのトピックスを挙げ、留意すべきポイントを解説する。今回は、デジタルやIT(情報技術)の波を受けて起こりつつある顧客接点の革命的な変化について詳しく解説する。

 どんな時代でも、企業にとって顧客との接点は最重要項目である。実際、顧客接点の工夫を通じて、多くのレジェンドが作られてきた。以前からその代表と言われてきたのが、米総合小売大手のシアーズ。20世紀初頭に、整備が進んだ郵便の仕組みに目をつけて、カタログという新たな顧客接点を創出し、カタログ通販という新ビジネス領域を発展させた。その後もモータリゼーションの進展に着眼して、駐車場付きのデパート、ショッピングモールなどの顧客接点を構築し、小売りの雄となっていった。

 1970~80年代にかけての顧客接点のイノベーションの波も多くのレジェンドを作った。コンビニを社会インフラ化させたセブン-イレブン・ジャパンをはじめとするコンビニエンスストアチェーンの営み、銀行の店舗を変えたATM、ドミノ・ピザやピザーラなどが切り開いていったデリバリー、今やインフラとなったコールセンターなども、消費者に圧倒的な付加価値を生み出したレジェンドと言ってよいだろう。

顧客接点革命が本格化しつつある

 常に進化し続けてきた顧客接点であるが、デジタルやIT(情報技術)の波を受け、今、革命的な変化が起こりつつある。最も想起しやすいのは、米アマゾン・ドット・コムに代表されるネット流通チャネルの飛躍的なプレセンスの増大、購買行動のリアルからネットへのシフトである。確かにこの動きのインパクトは大きいものの、顧客接点の一変化にすぎない。全体として起こっている変化はさらに大きなものだ。

 第1に、顧客接点の種類が激増している。まず目につくのは、ネット、デジタル領域。だがこれらをインターネットチャネルの出現という一言で片づけてしまうのは粗すぎる。中には、かつてシアーズが着眼した郵便に当たるほどのインパクトがある接点も多数含まれているためだ。

 より詳しく見ると、企業からの顧客への情報発信の接点という観点からだけでも、自社サイト、ネット広告、ブログ/ネット記事、ソーシャルメディア、キュレーションメディア、比較サイトなど、多数考えられる。また、売り場としての接点という観点からは、アマゾンのような大手からニッチプレーヤーに及ぶ多種多様なコマースチャネル、自社直販サイトなどがある。加えて、スマホやタブレット用のアプリも、ウェブとは違ったことができる接点として存在感を高めている。

 ネットのみならず、リアルの顧客接点も増えている。例えば、コンビニエンスストアが取り扱いサービスを増やし、銀行の支店や携帯電話事業者が様々な商品、サービスを取り扱うようになっていることも、企業視点からは、顧客接点、選択肢の増加と捉えられる。また、コンビニに対抗するミニスーパーや、複数の保険会社の商品を扱う来店型保険ショップのような新種の流通チャネルも生まれている。また、公共スペースではデジタルサイネージ(電子看板)のような新たな顧客接点もある。ネット、リアルの両面において、顧客接点の種類――企業からすれば、選択肢――が激増しているといえよう。

 第2に、企業側が、顧客接点の新しい使い方を生み出していることだ。今、最も注目されているコンセプトの一つが、オムニチャネルであろう。いろいろな定義があるが、実店舗とネットサイトを対立概念と考えず、どちらで買っても同じ顧客体験ができるように、双方を統合させた形で顧客に提示していく、というものだ。

 小売事業者からすれば、お店でも、スマホのアプリでも、パソコン(PC)からでも、どこから買ってもらってもよい。企業側でそれぞれを連動させて、レコメンド、優遇もしながらロイヤルティーを高め、トータルの購買金額を引き上げる、という考え方である。また、一つの事業者ができる範囲は限られるので、多くのパートナーと広く組んでさらなる効果を狙う、という流れも出てきている。構想の大きさからすれば、まだ初期段階の営みと言えるが、ポテンシャルは大きそうだ。

 もう少し小粒だが、手触り感がある新しい試みとしては、米コーヒーチェーン大手スターバックスがアメリカの直営店で運用する、アプリと店舗の連動の例がある。アプリ経由で注文・決済して、店舗でピックアップするという単純なものだが、ユーザーにとっては、混んでいる時間帯でも注文時間や待ち時間が短くて済むし、店側も、混雑時に注文作業が省けるなどのメリットも大きい。2つの顧客接点を組み合わせて、新しい付加価値を出す例と言える。最近のタクシーを呼び出すアプリや、米ウーバー・テクノロジーズのサービスなども、ネットとリアルを結び付けた顧客接点組み合わせサービスと解釈できる。

 やや毛色の変わった例として、ネット接点の特性を生かして、顧客に商品開発に参加してもらう取り組みも増えてきた。米フリトレーのポテトチップス「Lay's」は、消費者から商品化してほしいフレーバーを募集、数点を期間限定で商品化してSNS上などで消費者に投票してもらい、優勝したフレーバーを正式に商品化する仕組みを運用している。優勝したフレーバーの発案者には100万ドルの賞金が出ることもあり、数百万件単位のアイデアが持ち込まれる、大規模なイベントになっている。これは極端な例であるが、従来にないような消費者との一体感を醸成している。

 これら、顧客接点のイノベーションを積極的に取り込む企業は、試行錯誤しながらも、確実に多くのベネフィットを得ている。ソーシャルメディア、比較サイトなどを効果的に使って、商品・サービスの認知向上、購買意欲の向上につなげれば、売り上げ拡大への道が開ける。よりダイレクトに、ネット流通チャネルの効果的な利用、リアル新チャネルの利用によって、売上増を期待することもできる。

 オムニチャネルは、うまく設計できれば、顧客の囲い込みや一人当たりの売り上げ向上への効果が大きい。また、ネットをうまく利用し、ユーザーにネット経由で種々の手続きをしてもらえれば、企業側の事務量削減、コスト削減につなげられる。このようなベネフィットを足し上げることによって、競合優位性を飛躍的に高めることができる。

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「本格化する顧客接点革命」の著者

内田 有希昌

内田 有希昌(うちだ・ゆきまさ)

BCG シニア・パートナー

東京大学文学部卒業。カーネギーメロン大学経営学修士(MBA)。株式会社三和銀行を経て現在に至る。BCGジャパンのオフィス・アドミニストレーター(統括責任者) 。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官