• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

定石を押さえ、M&Aの風をつかんで成長を取り込もう

2015年11月9日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 中国経済の失速を発端として、世界の経済や市場に負の連鎖が広がった2015年。チャイナリスクはさらに強まり、混乱が拡大するのか。それとも歯止めがかかり、好転していくのか。安倍晋三政権が新たに打ち出した「新3本の矢」を軸とするアベノミクス第2幕の成否は…。

 不透明感が一段と増す中、来る2016年にスタートダッシュを決めるためにどのようなトレンドを押さえておけばよいのか。ボストン コンサルティング グループを代表するコンサルタントたちが「水先案内人」として4つのトピックスを挙げ、留意すべきポイントを解説する。今回は、M&A市場を動かすトレンドとM&Aを成功に導くための留意点について詳述する。

 2014年はグローバルのM&A市場が案件数・金額ともに金融危機以来最高を記録した年だった。市場は2015年に入っても引き続き力強く拡大し、金額ベースで見ると、既に2015年上期を折り返した時点で、2014年の年間のM&A取引の6~7割に達している。もはや経営の舵取りにおいてM&Aを選択肢に入れないことの方が考えにくい。

 中でも、北米は特に活況を呈するM&A市場となっている。企業の潤沢な資金とプライベートエクイティの売り買い双方における積極的な活動によって、買収価格の水準(バリュエーション)もリーマンショック前の高水準に戻ってきている。

 アジア太平洋地域のM&A取引は、2014年、金額ベースで前年対比50%増とこれまでにないペースで拡大した。いわゆるメガディール(米ドルで100億ドル以上の金額の案件)が牽引したのが大きな要因だ。今年は東南アジア地域のM&Aは低調なものの、中長期的な市場の成長を取り込むため、各国企業のこの地域への投資意欲は旺盛である。

 日本企業によるM&Aも、2015年は伊藤忠商事のタイCPグループへの資本参加、保険各社の海外同業の買収、日本郵便の豪州トール・ホールディングスの買収など、件数・金額ベース双方で拡大傾向にある中、兆円・数千億円規模の大型ディールも増えてきている。企業各社の戦略方針や動きを見ても、2016年もこの潮流は持続しそうである。

3つのグローバルトレンドに注目せよ

 ボストン コンサルティング グループ(BCG)が毎年発表しているM&Aレポートの最新版では、業界の置かれた状況を反映した3つのトレンドがグローバルM&A市場を牽引したと分析している。

 第1のトレンドは、市場が加熱状態にあるハイテク業界で、取引金額と買収プレミアムがともに拡大していること。テクノロジー系企業は技術基盤、顧客基盤の拡大を目指して有力企業を自らのポートフォリオに取り込もうとしている。

例えば、米グーグルは2014年には30を超えるディールを実施し、2015年も引き続き広く技術獲得を目指している(人工衛星の開発、運用の技術を持つ米スカイボックス・イメージングや、スマートサーモスタットの米ネストラボなど)。またハイテク以外の企業もハイテクセクターの成長を取り込もうと触手を伸ばしている。独ダイムラーは米ウーバーテクノロジーズと競合する配車アプリ企業、独インテリジェント・アップスや米ライドスカウトといった企業を買収し、技術能力の向上を目指している。

 第2に、エネルギー・金融などの業界では、市場環境の激変の中で、ニューノーマル(新しい秩序)に適応するため、M&Aを通じてポートフォリオを再構築する動きが見られる。

 石油価格の急落と低迷、グローバルの需要低迷・供給の増加と、産油国と北米シェールガスの戦いはエネルギー業界に大きな転換をもたらし、原油価格が1バレル当たり100~120米ドルから40~70米ドルに低下する中でどう生き残るか、どう戦うか、選択が迫られている。また、東京電力・福島第1原子力発電所の事故を契機とする電力各社の再生可能エネルギーへの投資といった動きなども見られた。金融業界では米ゼネラル・エレクトリック(GE)が金融部門の売却を発表した。製造業を変えると言われるIoT(Internet of things=モノのインターネット)の流れの中で事業構造の転換を図っていると思われる。

 第3に、ヘルスケア、消費財、メディア・通信などの業界では、M&Aを通じてイノベーションを取り込もうとする動きが起きている。これは、オープンイノベーションに似た、R&D(研究開発)の外部調達ともいうべき買収の形で、技術やプロセス、顧客基盤を企業規模の大小問わず買収する動きだ。製薬業界ではスイスのロシュ、米ファイザー、米アッヴィなどが数百億米ドル単位のディールを実施している。

 これに似たタイプのM&A案件は消費財業界にも散見される。イノベーティブなブランドを一から構築するのではなく買収によって獲得し、グローバルの販売ネットワークに乗せてシナジー実現を目指す戦略だ。例えば、サントリーホールディングスなど、世界のビール・飲料メーカーが繰り広げるブランド買収合戦は、イノベーティブな製品、ブランドを獲得して自社の製品ポートフォリオを拡大するのみならず、サプライチェーンや拠点のプラットフォーム強化、人材の取り込みにも役立っている。

 自社のM&A戦略をどう構築するべきかを考える際に、これらの流れは一つの見方を示す。重要なのはM&Aを仕掛けていく上では、戦略的合理性が不可欠だということである。

コメント0

「徹底予測2016 BCGが注視する4つのトピックス」のバックナンバー

一覧

「定石を押さえ、M&Aの風をつかんで成長を取り込もう」の著者

加来 一郎

加来 一郎(かく・いちろう)

BCG パートナー

消費財、製造業、商社などを中心に、M&A・事業再編・アライアンスなどにおける戦略構築・実行支援、合併後の統合支援などのプロジェクトを数多く手掛ける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員