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「消費者はモノなんて買わない」

家電ベンチャー、バルミューダ・寺尾玄社長の信念

2015年11月5日(木)

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 日経ビジネスの11月2日号の特集「俺の100年ヒット論」では、劇的な技術革新が難しくなった成熟市場でヒットを生み出す経営者も登場した。2010年に2重の羽の扇風機を発売し、一躍有名になった家電ベンチャーのバルミューダ。2015年には2万円台の高級トースターをヒットさせるなど、家電大手が見落としてきた普通の生活の中にある商機を巧みにつかんでいる。「消費者はモノではなく体験を買っている」という信念を、いかに商品開発とマーケティングにつなげているか。バルミューダの寺尾玄社長に聞いた。
てらお・げん 1973年生まれ。元ミュージシャンという異色の経歴を持つ。2010年に発売した扇風機は3万円台と高額ながら大ヒットを飛ばした。(写真:竹井俊晴)

:2010年に扇風機を発売した当初は、無名のメーカーでした。そんな企業がヒット商品を生んだ理由をどう見ていますか。

寺尾:市場のトレンドがこうなっているから、こういう商品を幾らで出そうという考えでは、多分、大ヒットは生まれないと思っています。

 私たちの場合は市場調査なんてほとんどやらない。うちの強みは“勝手さ”なんですよ。俺たちが「こういうものがあったらいい」と思う商品を考えます。

 じゃあ、私たちは今、どういうものが欲しいのか。もうモノは売れないなと思っています。というか、皆さん、もうモノを買っていないと思います。消費者は“体験”を買っているんです。

 例えば、今では数百円で買えるデジタル時計がある中で、何で何百万円の時計や何十万円のスーツがあるのか。なぜそういう高級品を選んでいるかというと、それを身につけたり、使ったりすることで体験が変わるところがポイントなんです。実際、高い服に金を出しているんじゃなくて、その服を着て街を歩いたり、店に座ったりしている自分を想像して買うわけですよね。

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「「消費者はモノなんて買わない」」の著者

中 尚子

中 尚子(なか・しょうこ)

日経ビジネス記者

日本経済新聞入社後、証券部で食品やガラス、タイヤ、日用品などを担当。財務や法務、株式市場について取材してきた。2013年4月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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