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ネスカフェとキットカット、高収益化の秘密

高岡・ネスレ日本社長×楠木・一橋大教授の白熱対談

2015年11月16日(月)

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 10月7日、東京・六本木のホテルに、世界最大の食品メーカー、ネスレの幹部が集まった。アジア・オセアニア・アフリカの12カ国のトップら約25人が、ネスレ日本の高岡浩三社長からヒット商品を生み出す極意を学ぶためだ。

 高岡社長は、ネスレ本社から「チーフ・イノベーション・オフィサー」としての役割を期待されている。スイスにある本社に常駐せずに、本社役員に近い立場に就くのは同社の歴史でも前例がない。ネスレの「ネスカフェ」「キットカット」という70年以上の歴史を持つロングセラーを成熟市場の日本でさらに進化させ、ネスレの中でトップレベルの収益性を誇る事業へと飛躍させたことが評価されてのことだ。

 高岡社長が考える、ロングセラーの鉄則とは何か。日経ビジネスは本誌11月2日号特集「俺の100年ヒット論」では、13人の経営者にインタビューをした。NBOでの連載7回目は、本誌が組織した「100年ヒット育成委員会」の委員長である戦略ストーリーの権威、一橋大学大学院国際企業戦略研究科の楠木建教授が、高岡社長に切り込む。

100年ヒット育成委員会メンバー
委員長 楠木建 一橋大学大学院教授
委員
(50音順)
安藤宏基 日清食品ホールディングス社長
伊藤秀二 カルビー社長
小林一俊 コーセー社長
佐藤章 キリンビバレッジ社長
澤田道隆 花王社長
高岡浩三 ネスレ日本社長
高原豪久 ユニ・チャーム社長
寺尾玄 バルミューダ社長
寺田直行 カゴメ社長
水谷徹 サントリービール社長
相談役 江崎勝久 江崎グリコ社長
樫尾和雄 カシオ計算機会長
鈴木喬 エステー会長
たかおか・こうぞう 1960年生まれ。「キットカット」の受験キャンペーンなど、巧みなマーケティング戦略の立案・実行で知られる。日本発のイノベーションにこだわり続ける。(写真:的野弘路)

楠木:まず議論の大前提として、ビジネスの目標は継続的に利益を生み出すことです。その原則に従えば、商品が長いこと売れるのがいいに決まっています。しかし、売り手が腰を据えて商品を長く育てようという意図を持たない限り、ロングセラーは育ちません。

高岡:その通りですね。

 「エアロ」という商品をご存じですか。少し空気が入ったチョコレートで、私がマーケティングのマネジャーだったときに発売し、テレビ広告を打ちました。初年度はコンビニエンスストアで供給が足りなくなるほど非常によく売れました。それで気を良くして設備投資までしたのですが、その後はずっと右肩下がりで(笑)。

 発売当初に欠品するほどたくさん売れても、その時は広告などに多額の投資が必要でほとんどもうかりません。大きな利益を稼げるのは、そうした投資が必要なくなって、商品が十分に認知されてからです。つまり、ロングセラーになってから。そのため、ネスレ社内では、そうなるまで「ヒット商品」とは呼びません。

楠木:ロングセラーを作るのが、ネスレの典型的な勝ちパターンというわけですね。

新たなセグメントを作る

高岡:そうです。私はロングセラーを作る上で、ほぼ唯一の鉄則は、イノベーションで新しいセグメントを創造することだと考えています。なぜなら、ライバルが出てくるまで、そのセグメントを独占できるからです。

 「ネスカフェ」では、インスタントコーヒーの世界でずっと事業をしてきたのですが、そこにレギュラーコーヒー1杯分の粉をカプセルに詰めて、専用の機械で抽出する「ネスカフェ ドルチェ グスト」というのを開発しました。カプセル型のレギュラーコーヒー市場では、この商品の占有率は、今も約85%と圧倒的です。

 最近では「粉」のビジネス自体も、インスタントコーヒーと同じ土俵で戦うのをやめて、“レギュラーソリュブルコーヒー”という新たなセグメントを作り出しました。新技術でレギュラーコーヒーの粉を酸化しないようにして、さらに専用の機械を使えばより香り立つコーヒーを抽出できるようにしたのです。

 もちろん、新たなセグメントが消費者に浸透するまでには、10年単位の時間が必要だと思います。しかし、焦っても仕方がない。

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「ネスカフェとキットカット、高収益化の秘密」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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