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気が緩んだころにやってくる心の危機

無理ができることは強いことではない

2015年12月5日(土)

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 日経ビジネスオンラインの読者の皆様、こんにちは。臨床心理士の玉川真里です。このコラムは、業務を円滑に回すために日々激務にさらされている読者の皆様に、とっておきの心の危機回避法をお伝えすることを目的としています。

 最初ですので、簡単に自己紹介をさせていただきます。コラムのタイトルに「女性元自衛官」とあるように、私は高校卒業後、陸上自衛隊に入隊しました。当初は、その駐屯地で女性初の大砲部隊野外通信手として勤務していました。

 その後、臨床心理士を取得、陸上自衛隊としては初の現場臨床心理士として、自衛隊の自殺予防対策を任されました。自衛隊にいたときには年間2000件以上の相談を受けており、相談室には行列ができるほどでした。

自衛隊に所属していた時代の筆者です

 自衛隊というと、どのようなイメージを持つでしょうか。屈強な体格を持った隊員が、日々厳しいトレーニングの中で心身ともに鍛えられ、そして災害時などにおいては、普段のトレーニングの成果を発揮し、国民を危機から救う。一般的にはそんなイメージでしょう。

 これは正しい姿です。自衛隊のトレーニングによって、厳しく鍛えられることは間違いありません。ただし、過酷な業務がゆえに、心の病にかかってしまう隊員が少なくないのも事実です。特に、東日本大震災後には、その復旧作業にあたった隊員、中でも自身も被災している隊員の多くに心の不調が生じたのです。

 と言っても、このようなことは、自衛隊特有のことではありません。日々、オフィスで激務を行っている皆様にも、起こり得ることなのです。私から見れば、日々が実践である皆様こそ、激務の中で神経をすり減らしているのではないかと思います。

 私は、元自衛官として、心に病や不調を抱えた自衛隊員を、毎日目の当たりにし、そしてこのような緊急事態に対するストレス・マネジメントを研究してきました。そんな経験を基に、決して心の病に至らない、秘訣をお伝えしていこうと思っています。主には、私が経験した事例を紹介し、その事例を通じて何が重要だったか、その根本をお伝えしていきます。

大きな死亡事故に機敏に対応した後エリート

 では、1回目の事例を紹介しましょう。

 その方とは、上司が心配したことから、お会いすることになりました。30代後半で、とても聡明な方でしたが、元気がなく、これから勤務を続けていく自信を失っているようでした。話を聞くと、頭痛、めまい、気力の低下、自信の低下、集中力の低下、睡眠障害などに困っており、うつ状態に陥っているようにも見えました。

 有名大学を出た自衛隊の中でもエリートで、また、同期の中でも出世頭でした。そんな彼が、突然、心の危機に陥ったのです。私は、今現在だけではなく、組織に入ってから現在までの軌跡について、しっかりとお聞きしました。

 彼の話はこうでした。

 8年前に某国の領事として勤務していたときのことです。日本人旅行客が事故に巻き込まれて、全員が亡くなるという凄惨な出来事がその国でありました。このような場合、邦人の遺族対応を行うのは、その国の日本領事館です。彼は、メディア対応、遺族への説明や治療費の支払い手配、国家同士の補償に関する調整役など、困難で機転が必要な業務を一手に背負っていました。大きな事故であったため、その業務は長期にわたり、最終的に終了したのは、事故から3年後でした。

コメント5件コメント/レビュー

シンプルですが、経験上も確かにそうですね。
全てを乗越え、課題の案件も終わり、一息ついたと言う時に体調の不良が襲ってくる。体には何処にも異常がない、このジレンマこそが本質で、「異常が無ければ気にしなければいい」(ストレスとはそういうものだと割切る)のが何より大事だと思います。
それを理解し寄り添う事が可能な筆者は優秀な臨床心理士だと推察します。
それをマイナス評価にして「鉄人」を抜擢して最悪の結果を招くのが日本人の悪癖ですがそれはまた別ですね。
ただ…企業は、自衛隊とは違いますので心理学データとは若干違った動きをするように思います。その辺りの乖離は感じられていらっしゃるかもしれませんけど。(2015/12/07 12:58)

「女性元自衛官がリーダーに伝える「心鍛術」」のバックナンバー

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「気が緩んだころにやってくる心の危機」の著者

玉川 真里

玉川 真里(たまがわ・まり)

元自衛隊の臨床心理士

1973年岡山県生まれ。1991年に陸上自衛隊に入隊。2008年、陸上自衛隊において現場初の臨床心理士として、自殺予防対策を任される。より多くの人の心を救済したいとの思いから自衛隊を辞め、NPO法人設立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

シンプルですが、経験上も確かにそうですね。
全てを乗越え、課題の案件も終わり、一息ついたと言う時に体調の不良が襲ってくる。体には何処にも異常がない、このジレンマこそが本質で、「異常が無ければ気にしなければいい」(ストレスとはそういうものだと割切る)のが何より大事だと思います。
それを理解し寄り添う事が可能な筆者は優秀な臨床心理士だと推察します。
それをマイナス評価にして「鉄人」を抜擢して最悪の結果を招くのが日本人の悪癖ですがそれはまた別ですね。
ただ…企業は、自衛隊とは違いますので心理学データとは若干違った動きをするように思います。その辺りの乖離は感じられていらっしゃるかもしれませんけど。(2015/12/07 12:58)

自衛隊の方々が世界中どこでも、戦闘地域であっても(戦闘現場でなければ)出ていけるように法改正されたことを危惧しています。
後方支援部隊であっても、戦闘地域では急に戦闘現場に変わって爆撃されることもあり得るし、協力しあっている海外の軍隊の隊員の悲惨な死の場面に直面するかもしれません。TVでドイツの後方支援部隊が心的外傷を受けて帰ってきて苦しんでいるニュースを見ました。また、沖縄基地の「米兵」は実戦部隊ではなく後方支援部隊だそうですが、よく強姦事件等をおこすのは心的外傷による精神障害のためだという意見も聞きます。
アメリカでは帰国兵の精神障害によるドロップアウトは社会問題としての認知度が低く、帰国しても心的外傷が癒えずに社会不適合をおこしても自己責任ということでホームレスになるケースもあるようです。アメリカ人から、兵隊を使い捨てるような社会の無関心さを憂慮している、日本も軍備するなら精神障害のケアをする仕組みを今から作っておいたほうがいい、とアドバイスされたことがあります。
この記事で自衛隊に精神をケアする仕組みができつつあることを知って少し安心するとともに、それでも自衛隊員の皆様にこれ以上の激務を課すような状況になってほしくないなぁ、と思いました。(2015/12/07 11:16)

私は、昭和8年生まれの82歳、昭和27年12月一般隊員として陸上自衛隊に入隊、福岡駐屯地で新隊員教育を受け、昭和36年に北海道へ転勤、旭川・真駒内・倶知安の各駐屯地で普通科(歩兵)として山野を駆け回りました。
幸運にも最下位階級から這い上がり1等陸尉(大尉)になった時、当時の上司に勧められ、CGS(指揮幕僚課程)試験にトライ、合格が決まるまで北の大地を13年間駆け回っていました。
貧乏家庭に育った私は、一応高校(夜学定時制)は卒業しましたが、全く基礎学力に欠けていました。自衛隊の階級社会はある程度の学力がないと上位階級に進めません。自分で言うのも気が引けますが体力は普通の上でハングリー精神は旺盛でした、が弱点は学力のないことを自覚、独学し各種の昇任試験の関門を潜り抜けることができました。
さて、CGSを終了してからが精神的苦労の連続でした。部隊運用・計画、実行、年度・期の計画、人事・駐屯地の維持運営等、山野を駆け回っていた頃と違い、全く未知の分野の仕事に命の縮まる想い欝的状態に陥ったこともありました。
玉川真理さんの文章を読み、素晴らしい後輩だな、話題の男性自衛官ともに今後に期待しています。(2015/12/05 23:44)

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