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米国の常識から考える新国立競技場建設計画の迷走

スタジアム建設の成否を分けるのは何か?

2015年7月22日(水)

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巨額の総工費の扱いを巡って迷走が続く新国立競技場の建設予定地(写真:HIROYUKI OZAWA/アフロ)

 「半世紀前に立てられたスタジアムでも、10年前に立てられたような新鮮な印象を与え続けるものもあれば、75年前に立てられたように古びて感じるものもある。その違いを生むものは何だか分かりますか?」

 これは、先月サンフランシスコで開催された「スポーツ施設&フランチャイズ2015」(以下、SFF)のとあるセッションでの一幕です。SFFは、米国でスポーツ組織の経営者を主な読者に持つ業界誌「スポーツビジネス・ジャーナル」が毎年開催するカンファレンスで、最新のスポーツ施設経営に関するノウハウや事例を2日間にわたって共有するものです。私も定期的に参加しています。

 冒頭の質問は、米メジャーリーグ(MLB)のサンフランシスコ・ジャイアンツの球団社長兼CEOであるラリー・ベアー氏への単独インタビューで、同氏が会場の参加者に投げかけたものです。サンフランシスコ・ジャイアンツと言えば、その本拠地AT&Tパーク(2000年オープン)は、いつ訪れても新鮮な雰囲気に満ちており、平均観客収容率はMLBナンバーワンの99.4%という驚異的な数字を誇ります(2015年7月14日時点)。

 ベアー氏の質問の種明かしは後ほど行うとして、今回のコラムでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた新国立競技場の建設問題について考えてみようと思います。

重要なのは総工費の多寡ではなく投資回収計画

 多くの皆さんもご承知のように、現在、新国立競技場の建設を巡って侃侃諤々の議論が巻き起こっています。複数のメディアが行った世論調査では、いずれも国民の大多数が現行案での建設続行に反対と答えていました。

 安倍晋三首相がゼロベースでの建設計画の見直しを決定したとはいえ、総建設費に2520億円もの巨費が投じられる(実際は、さらに毎年約40億円の維持管理費に加え、50年間で総額1046億円の改修費が計上されており、50年間での総コストは5500億円を超える)建設プロジェクトが、責任者不在のまま財源と収入の見込みもなく見切り発車的に進められていたのは、全く恐ろしい事態です(数字は7月7日の第6回有識者会議で了承された収支)。

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「米国の常識から考える新国立競技場建設計画の迷走」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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