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おせちと紅白がイマイチなわけ

2017年1月6日(金)

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 毎年思うことだが、正月が短くなっている。

 はじめにこのことを思ったのは、おそらく10年ぐらい前……と、書いてしまってからあらためて考え直してみるに、これは10年前どころの話ではない。私が正月の短縮化傾向に思い当たった最初の機会は、30年は昔の話だったはずだ。

 なるほど。

 私の脳みそは、どうやら、はるか昔のできごとや記憶を、なんでもかんでも「10年前」というふうに決めてかかる省略術を身に着けはじめている。このことはつまり、私が、10年以上前の経験について、真面目に考える気持ちを失いつつあることを意味している。

 とはいえ、実際のところ、30年前の出来事であろうが、15年前の記憶であろうが、私個人にとっては、どっちみち「昔のこと」であるという意味で大きな違いは無い。このあたりのあれこれを厳密に峻別してみたところで、私のクオリティー・オブ・ライフのどこかの部分が具体的に改善されるわけでもない。だからこそ、年寄りは、30年も昔の話を「ちょっと前」と言い、5年前に会った人間の話を「こないだ」のできごととして説明するのであって、私もまた、そういうでたらめな爺さんの領域に片足を突っ込んでいるということなのであろう。

 ともあれ、30歳になるかならないかの頃、当時親しく行き来していた仲間とのやりとりの中で

「なんだか、最近正月が短くなってないか?」

 という話をしたことは、なんとなくおぼえている。その時は

「だよな。ガキの頃は1月の半ばまでは正月気分だったけど、いまはせいぜい七草までだからなあ」

 といった感じの、いまから思えばなんとものんびりした返事が返ってきたものだった。

 現在の正月は、とてもではないが七草まではもたない。
 せいぜい三が日いっぱい。昔の感覚で言う「街がすっかり静まり返って、通りに人通りが途絶える」感じの、本当に正月らしい正月は、元日限りで打ち止めだ。

 その、1年のはじめの元旦にしたところで、コンビニは前年から引き続いて営業しているし、スーパーも家電量販店も、平常と変わることなく、午前10時には店を開けるタイムテーブルで動いている。2日になればチェーン展開している飲食店が揃って営業を再開する。ということは、まるまる1週間おせち料理を食べてすっかり食傷した若い連中が、松が明ける頃にラーメン屋に行列するみたいな日本の正月風景は、既に昔話になってしまったということだ。

 正月が短くなったことは、われわれの暮らしが便利になったことの裏返しでもある。

 ずっと昔、正月気分が成人式(昭和の時代、成人の日は1月15日に固定されていた)までのんべんだらりと続いていた時代、われわれは、必ずしも休みたくて休んでいたのではなかった。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「おせちと紅白がイマイチなわけ」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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