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やがて悲しきファーストペンギン

2017年1月27日(金)

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 1月23日、東京都の小池知事の政治塾を運営する政治団体「都民ファーストの会」が、夏の東京都議会議員選挙に向け、最初の公認候補として4人を擁立し、あわせて同会が地域政党として活動を始める旨を明らかにした。

 「都民ファーストの会」という会派名(あるいは「政党名」だろうか)に小池百合子さんらしさを感じる。この場合の「らしさ」とは、あえて標語にするなら

《あざとさと わざとらしさと いやらしさ》

 という、どうにも人工的なとってつけたようないかものくささのことで、要するに私は、この種の目新しい言葉を政党の名前として担ぎ出してくるこの人のマナーに、そこはかとない忌避感を抱いたわけです。

 その忌避感の詳細についてはおいおい説明するとして、今回は、昨今の政治の中で使われているいくつかの新しい言葉について、それらの言葉が好んで用いられる理由を考えてみたいと思っている。 

 「都民ファースト」のようなにわかづくりの言葉が、政党の看板として掲げられてしまうのは、基本的には小池都知事その人が持っている個性のしからしむるところだとは思うのだが、各方面の反響を観察するに、理由はどうやらそれだけではない。

 こういう名前が見出しに採用される背景には、政治家とメディアの共犯関係が介在している。つまり、ポピュリズムは見出しになりやすい言葉が好きで、メディアもまた見出しになりやすい政治家が好きで、結局のところわれわれはポピュリズムの見出しが大好きだということだ。

 会派の立ち上げと、公認候補の選定を伝えるVTRの中で、小池都知事は、自身の都知事としての初登庁の際に出迎えた3人の都議を「ファーストペンギン」という言葉を使って説明している。

 その

 「ファーストペンギンです」

 という言葉を発音する時の、

 「新聞の皆さん、わかってますか? ここ、見出しで使うとこですよ」

 と、軽く小首をかしげてみせる表情と仕草を眺めながら、私は、

 「ああ、この人は、ヘッドラインの8文字やスタジオ用の5秒VTRから逆算して、こういうコメントを並べに来ているのだな」

 と思って、静かに鼻白んでいた。

 インタビューのいちいちが小芝居じみているというのか、どの部分をカットしてワイドショーが使うのかをあらかじめ知悉している人間がそのことをわかった上でカメラに向かってキューサインを出すみたいにしてしゃべっているその様子が、もはやテレビウォッチャーとしては化石年代の人間になり果ててしまったオダジマには受け容れがたかったということでもある。

 ちなみに「ファーストペンギン」というのは、近年ベンチャービジネスの世界などで頻発されている言葉で、「危険な海に最初に飛び込むペンギン」を指す。

 なんでもペンギンの群れが暮らす氷のすぐ下の海中には、彼らの天敵であるシャチやらオットセイやらが常に待ち構えているものらしい。とはいえ、ペンギンたちとて、永遠に氷の上にいることはできない。エサを取りにいくために、必ずあるタイミングで海に入らなければならない。

 で、ある時、勇気あるペンギンが最初の一羽となって海に飛び込む。

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「やがて悲しきファーストペンギン」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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