• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

保育園に落ちた日のこと

2016年3月11日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「保育園落ちた日本死ね」というブログの文章が不思議な反響を呼んでいる(こちら)。

 このテキストが、最初にネット上で評判になったのは、2月半ばのことだ。

 それが、あれよあれよという間にネットの外の世界に波及し、国会の質疑で引用される展開になった。さらに、新聞紙上で議論を呼び、署名運動を誘発し、最終的には国会前でのデモを主導する一大政治的ムーブメントに発展しつつ現在に至っている。

 私がはじめてこのショートテキストを見かけたのは、ツイッターのタイムラインに流れてきた誰かの書き込みから辿り着いたリンク先だったと思う。

 一読して、すっかり感心した。
 内容もさることながら、21世紀の口語文のテンプレートとして見事な完成度を備えていると思ったからだ。

 インターネットの世界には、時おり、この種の話し言葉で書かれた汎用性の高い型見本が登場する。

 最も有名な例は、いわゆる「吉野家コピペ」だろう。これは名作だ。はじめて名前を知った人は、ぜひ「吉野家コピペ」で検索してみてほしい。原典の吉野家バージョンのほかに、語り手の居場所を様々に変化させた多様なバリエーションを一望することができるはずだ。

 個人的には、吉野家コピペの改変作の中には、そのまま寄席にかけても通用する作品がいくつかあると思っている。それほど、集合知の中で練り上げられた文章には、あなどりがたい説得力がある。

 より不穏当な文案として一時期猖獗をきわめた「阪神大震災には笑った」のような例もある。これなどは、読んでみればわかるが、決して愉快な文例ではない。このほか、コピペ文が、必ずしも素敵な読後感を提供してくれるものばかりでないことは、お知らせしておかなければならない。が、ともあれ、インターネット上のテキスト共有文化の中に、「コピペ」という、和歌における「本歌取り」に似た創作の作法があって、それを楽しんでいる有象無象の中に、時に、驚くべき才能の持ち主がいることは、この際、記憶しておいて損の無い事実だ。興味のある向きは、お気に入りの作品を掘り出しに行ってみるのも一興だと思う。

 「保育園落ちた日本死ね」を、私は、日本語の語り芸の伝統を踏まえている点で、落語や浄瑠璃に通じるものと評価しているのだが、そこまで持ち上げなくても、最新の日本語ラップの雛形として十分に可能性を持った作品だということは言えると思っている。

 無論、反発もある。
 まず、使われている言葉の粗暴さを受け容れない人々がいる。

コメント132件コメント/レビュー

「保育園落ちた日本死ね」
これを見たとき、保育園の先生は大変だなぁ、と思いました。プロが書いたものだとか。いろいろ取り沙汰されもしましたがこの発言の力の強さと、それに同調というか、同意する人の多さと批判の内容、少なさに保育園問題の難しさを感じました。
私は以前、保育園で7年ほどボランティアをしました。あの当時も「怖い」というかもっと言うとクレーマーに近い強い父兄はいましたが、この発言がこんなに支持されることに怖さを感じました。もちろん入園の困難さという真理は突いていますが、これは現場大変だろうなぉと。

そして何よりこんなに強く自己の権利や不都合を主張出来、世の注目を集められる「論客」が居るなら大丈夫だろうと。もっと言えば既に弱者であって、弱者では無いような。
助けるべきはのはこう言う強い論客の居ない子供、子供達の貧困では無いかと思いますが、どうでしょう。(2016/12/28 07:23)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

一覧

「保育園に落ちた日のこと」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「保育園落ちた日本死ね」
これを見たとき、保育園の先生は大変だなぁ、と思いました。プロが書いたものだとか。いろいろ取り沙汰されもしましたがこの発言の力の強さと、それに同調というか、同意する人の多さと批判の内容、少なさに保育園問題の難しさを感じました。
私は以前、保育園で7年ほどボランティアをしました。あの当時も「怖い」というかもっと言うとクレーマーに近い強い父兄はいましたが、この発言がこんなに支持されることに怖さを感じました。もちろん入園の困難さという真理は突いていますが、これは現場大変だろうなぉと。

そして何よりこんなに強く自己の権利や不都合を主張出来、世の注目を集められる「論客」が居るなら大丈夫だろうと。もっと言えば既に弱者であって、弱者では無いような。
助けるべきはのはこう言う強い論客の居ない子供、子供達の貧困では無いかと思いますが、どうでしょう。(2016/12/28 07:23)

最後のセンテンスが最高に秀逸(2016/12/05 11:17)

舛添さんの外国人学校への熱意と、それには批判しないのかと言われて「落ちた人?」が関するブロック諸々で、めでたくオチがついた感があります。
英語的文法に置き換えれば、「ヘイトな主張」は揶揄を呼ぶのは当然ですし、触れられて嫌な話題になると主張を引っ込めるようでは、なかなか保育園も増えませんよね。
激高したから(不自然ながら)仕方ないなと言う話なのに、名文だって持ち上げれば、計算づくやマッチポンプに見えてしまうのは仕方ない事です。
「子供がキャリアや家庭に足かせになる」という社会的風潮の方がよほど問題なんですが、あまり誰も触れないのが滑稽です。(2016/03/26 10:30)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

すきま時間を活用できることに気づいた消費者は、時間価値をかつてないほど意識している。

松岡 真宏 フロンティア・マネジメント代表