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「教育勅語」を愛する人々

2017年3月17日(金)

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 3月14日、ということは、いまこの原稿を書いている現時点から数えて2日前に相当するのだが、その3月14日に開かれた会見の中で、文部科学大臣の松野博一氏が、不可思議な見解を漏らしている。

 松野大臣は、教育勅語について、憲法や教育基本法に反しないような配慮があれば「教材として用いることは問題としない」と表明したのだ(こちら)。

 なんとまあ不用意な発言ではあるまいか。

 念のために解説すればだが、教育勅語は、既に効力を失った教材だ。

 というよりも、教育勅語は、単に効力を失ったのではなくて、より積極的に、教育現場から「排除」され、「追放」された過去の亡霊だ。歴史上の悪夢と申し上げて良い。

 事実、この勅語に関しては、「憲法の理念に反する」として1948年に衆議院で「排除決議」が採択され、あわせて参議院でも「失効決議」が採択されている。

 してみると、このたびの松野大臣の発言は、一旦国会の場で、「憲法の理念に反する」として「排除」され「失効」した歴史的な教材を、文部科学大臣の名において「憲法や教育基本法の理念に反しないような配慮」を条件にしているとはいえ、「有効」であるとして再び召喚しようとした措置に見える。

 こういうことをポロッと言ってしまって、果たして文部科学行政の一貫性は保持できるものなのだろうか。

 たとえばの話、腐っていることが認定されて、食べてはいけないことになった食品について、「腐敗に気をつける配慮」があれば、「食材として用いることは問題としない」てなことを保健所の所長がドヤ顔で言ってのけるような世界で、果たして食卓の衛生は防衛できるものなのだろうか。私はそうは思わない。こういうことが起こったら、その世界に住む人間は、腐った食べ物を再び食べさせようとしている人々の意図と狙いについて、あらゆる方向から考え直す努力を怠ってはならない。でないと、早晩食中毒で死ぬことになる。

 どうして、一部の人々は腐ったリンゴに執着するのか。

 腐ったリンゴからでなければ摂取できない栄養素が存在するということなのか。それとも、リンゴを腐っていると認定した体制自体を転覆せんとする運動が、いまわれわれの周囲で起こりつつあるということなのか。

 

 真相はいずれにあるのだろうか。

 今回は、教育勅語について考えてみるつもりでいる。
 思うに、教育勅語は、昨今話題の森友学園騒動を解読するためのキーのひとつだ。

 疑惑の核心はカネの動きと職務権限にある。政治家の関与と官僚の忖度がどのような経路で発生し、誰と誰がどんな決断に影響力を行使し、誰が利益にあずかり、誰が便宜を供与し、どんな機関が背後で動いていたのか、ジャーナリストや運動家が究明せねばならないのは、そのあたりの行ったり来たりなのだろうし、国会や捜査機関を動かすべくメディアが焦点を当てるべきポイントもその界隈に散在しているのだと思う。

 が、一歩引いた場所から観察すれば、森友学園問題の背後には、常に「教育勅語への賛意」という不可思議な感情が底流している。というよりも、カネや利権に直接のかかわりを持たなかったより多くの人々も、森友学園がその中心的な理念として強調していた教育勅語の扱いに関しては不用意かつ積極的に関与していたわけで、とすれば、森友学園の問題をより深く理解するためには、教育勅語が現代に突きつけようとしている問題について問い直さなければならないはずなのだ。

コメント184件コメント/レビュー

この記事の投稿者は教育勅語には反対の立場の様だが、「多くの日本人は、教育勅語について、多少古くさいところはあっても、基本的には昔ながらの古き良き日本人のつつましやかな奥ゆかしさを体現した、素晴らしい遺産だぐらいに評価している。」と書かれている事には腹を立てざるを得ない。一体どの部分が「素晴らしい遺産」なのか、示して欲しい。日本人の「つつましやかな奥ゆかしさ」は出しゃばらない良さを褒めた言葉だが、これは現代においては日本人の大いなる欠点と言って過言ではない。日本人は身内では大きな顔をして偉そうに話をする人の多くも、外国人の中に混じって議論したら「借り猫」の如く大人しく自分の権利の主張すら出来ない。同じアジアでも中国人や韓国人なら人を押しのけてでも自分を主張する強さがある。グローバルのビジネスで日本企業が勝てない理由の多くの原因はここにある。日本企業でも優位にあるのは、他に勝る技術などを持っている場合に限られている。現代日本における教育で重要なのは、百人の中でただ一人の意見だとしても堂々とその主張を貫く事と、他人の意見は自分のそれに反していたとしても耳を傾け、その主張するところを理解しようとする姿勢だ。個人主義の確立こそが、これからの日本人を何処の誰にも言いくるめられずに堂々と主張を戦わせる人材を育てる事になる。教育勅語の主張の中には現代に通ずる部分もあるが、それをもって「復活」の言い訳にするのは突飛過ぎる。何よりも当事者の系統にある天皇陛下もご迷惑な事だろう。(2017/08/11 19:59)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「「教育勅語」を愛する人々」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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この記事の投稿者は教育勅語には反対の立場の様だが、「多くの日本人は、教育勅語について、多少古くさいところはあっても、基本的には昔ながらの古き良き日本人のつつましやかな奥ゆかしさを体現した、素晴らしい遺産だぐらいに評価している。」と書かれている事には腹を立てざるを得ない。一体どの部分が「素晴らしい遺産」なのか、示して欲しい。日本人の「つつましやかな奥ゆかしさ」は出しゃばらない良さを褒めた言葉だが、これは現代においては日本人の大いなる欠点と言って過言ではない。日本人は身内では大きな顔をして偉そうに話をする人の多くも、外国人の中に混じって議論したら「借り猫」の如く大人しく自分の権利の主張すら出来ない。同じアジアでも中国人や韓国人なら人を押しのけてでも自分を主張する強さがある。グローバルのビジネスで日本企業が勝てない理由の多くの原因はここにある。日本企業でも優位にあるのは、他に勝る技術などを持っている場合に限られている。現代日本における教育で重要なのは、百人の中でただ一人の意見だとしても堂々とその主張を貫く事と、他人の意見は自分のそれに反していたとしても耳を傾け、その主張するところを理解しようとする姿勢だ。個人主義の確立こそが、これからの日本人を何処の誰にも言いくるめられずに堂々と主張を戦わせる人材を育てる事になる。教育勅語の主張の中には現代に通ずる部分もあるが、それをもって「復活」の言い訳にするのは突飛過ぎる。何よりも当事者の系統にある天皇陛下もご迷惑な事だろう。(2017/08/11 19:59)

小田嶋氏の教育勅語に対する認識と、私の現憲法に対する認識が近い。私には現憲法を有難がる者の気が知れない。現憲法を有難がる今の時代から早く抜け出したい。(2017/03/24 22:38)

>誰があそこに産廃を持ち込んだのか、調べていけば部落解放同盟にぶつかる。

 解同どころか、山口組系山健組の名前まで出てきた。とんでもない毒蛇の穴に手を突っ込んだんじゃないか?
 野党とマスコミが森友学園問題を長引かせているのは、「テロ準備罪」を含む法案の審議を邪魔するためだと考えられるが、その法案は過激派だけでなく暴力団にとっても脅威。暴力団と戦ってきた民間暴力専門の弁護士グループの一部が、同法案に賛意を表明しているのそのため。山口組も、当然法案の動きを注視しているだろう。(2017/03/23 21:31)

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