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「教育勅語」を愛する人々

2017年3月17日(金)

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 普通に考えて、自分が現場を見ていない問題はよくわからないし、よくわからない問題についてあれこれ憶測を語るのは、愚かな態度なんではなかろうかと、毎度のことながら、実はそこのところを恐れてもいる。

 文章を書くのにいちいち書き手の資格をでんでん、じゃなかった云々するみたいな硬直的なツッコミは、この際無視するのだとしても、この種の疑獄事件に関して、自分の足で取材しない人間が関与する余地をあまり多く持っていないことは、いかんともしがたい事実ではあるわけで、とすれば、私のような書き手は、事件そのものや事実関係についてではなく、事件に関与していた人間たちが共通して抱いている思い込みみたいなものに話の焦点を持っていかざるを得ない。で、それが今回の場合は、教育勅語だということになるわけだ。

 わたくしども日本人は、教育勅語について、それぞれに大量の硬軟取り混ぜた思い込みを抱いている。
 その陳腐でありながら多様な思い込みを解明しないと、この問題は先に進まない。

 さて、発言の内容自体もさることながら、私は、松野大臣が、あえてこの時期によりにもよって教育勅語についてコメントしたという事実に、なによりもまず驚かされている。あまりにも軽率だからだ。

 ヤブヘビというのか、火中の栗を拾いに行ったようにしか見えない。

 教育勅語が、ホットな話題になっている背景には、現在進行中のスキャンダルがある。

 後日読み直す読者のためにあえて具体的に説明すると、教育勅語に注目が集中しているのは、経営する幼稚園の園児に教育勅語を朗唱させていることで注目を集めた森友学園という学校法人に関連する一連の疑惑報道が、いままさに進行中だからだ。

 その延焼中のスキャンダルのさなかで、文部科学大臣という容易ならざる立場にある人間が、わざわざ教育勅語の意義についてコメントする狙いが那辺にあるのか、そのあたりの裏事情を考えると、私は、自分のアタマが混乱して堂々巡りをはじめるのを止めることができない。大臣はいったいなんでまたこんな問題にクビを突っ込んだのであろうか。彼は誰に対して何をアピールしたかったのだろう。

 つい1週間ほど前の3月8日には、稲田朋美防衛大臣が、参院予算委員会で社民党の福島みずほ議員の質問に答える中で

 「教育勅語の核である、例えば道徳、それから日本が道義国家を目指すべきであるという、その核について、私は変えておりません」
  「私は教育勅語の精神であるところの、日本が道義国家を目指すべきである、そして親孝行とか友達を大切にするとか、そういう核の部分ですね、そこは今も大切なものとして維持している」
 「教育勅語に流れている核の部分、そこは取り戻すべきだと考えている」

 という主旨の発言をしている。
 これまた驚愕すべき答弁だ。

 いったいアタマの中にどんな味噌が入っていれば、こんな言葉を考えつくことができるのだろうか。

コメント183

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「「教育勅語」を愛する人々」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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