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文春砲の雷鳴を聞きながら

2016年3月25日(金)

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 この夏の参院選に自民党からの出馬が噂されている『五体不満足』の著者、乙武洋匡氏に不倫交際の過去が発覚したのだそうだ。

 なるほど、と、感想は以上の4文字に尽きる。
 今回は、これ以上この話題に乗っかる気持ちになれない。

 個人的にまるで興味が無いわけでもないのだが、ここのところ、週刊誌報道の後追いばかりやっている気がしていて、そのことを、わがことながら、なさけなく思っているからだ。
 もうすこし率直に、うんざりしていると言い直しても良い。

 今回の乙武さんのネタは、週刊新潮のスクープ報道らしい。
 今年に入ってから、週刊文春による暴露報道が毎週のように続き、それに呼応するように、ライバル誌である週刊新潮もいくつか続報や新ネタのスクープを抜く流れになっている。

 で、ネット上では「文春砲」という言葉がやりとりされている。それほど、両週刊誌、特に文春の取材力と記事作成能力が目立っているわけだ。

 今回は、週刊誌報道がリードする2016年の上半期を振り返りながら、どうしてこんなこと(文春の一人勝ち状況)になってしまっているのかを考えてみたいと思っている。

 最初に結論を言ってしまうと、私は、ここしばらく、文春&新潮の存在感が突出して見えるのは、彼らの取材力の結果というよりは、新聞およびテレビの退潮を反映した状況なのだと思っている。

 特に、芸能分野についてのスキャンダル記事は、ずいぶん前から文春、新潮の独壇場になっている感がある。

 ほんの10年ほど前までは、スポーツ新聞各紙に、それぞれ、スクープを抜くだけの力があった。
 あるいは、彼らが取材力を失いはじめたのはもっと前なのかもしれない。
 ともあれ、少なくとも20年前には、まだまだスポーツ新聞には侮りがたい実力があった。
 当時は、テレビのワイドショーも独自の人員と予算を備えていた。

 写真週刊誌の存在も大きかった。フォーカス、フライデー、フラッシュの主要3誌は、芸能スポーツのみならず、政治経済分野でも、毎週のように世間を驚かすスキャンダルを暴き立てていた。

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「文春砲の雷鳴を聞きながら」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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