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教育勅語はなぜ必要か

  • 小田嶋 隆

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2017年4月7日(金)

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 政治家が備えているべき資質の中には、困難な場面で感情的に振る舞わないことも含まれている。
 大臣である以上、記者の質問には回答せねばならない。答えられないのなら、その理由を伝えなければならない。仮に、質問者の態度が失礼であったのだとしても、そこは、冷静にたしなめるなりして、会見は会見として粛々と完了しておく必要がある。まあ、建前だが。

 ツッコミどころを整理すると

1.怒鳴るのは論外。

2.「自己責任」というのは、復興担当大臣が気軽に振り回して良い言葉ではない。

 というのも、社会とは責任を分かち合うシステムであり、政治はその責任を調整する手続きだからだ。特に復興を担当する大臣は、被災地の人間をサポートする任務を担っている。とすれば、復興をサポートするはずの人間の口から出た「自己責任」という言葉は、レストランのシェフが「自分で料理しろ」と言ったり、学校の先生が「自習しろ」と言ったのと同じで、職務放棄と見なされても仕方がない。

3.東京電力の株を8000株所有しているという報道があった。神経を疑う。

 といったあたりになるわけだが、これらについては、新聞各紙で既に指摘されているところでもあるので、ここでこれ以上深追いすることはしない。

 当欄では、今村大臣が記者を怒鳴りつけたあとの意外な行動について考える。
 個人的に、暴言そのものよりも、そっちの行動の方が強く印象に残ったからだ。

 会見があった4月4日の夜、私は暴言会見の動画を視聴した上で、以下のようなツイートを投稿した。

《今村復興相は、記者を怒鳴りつけた後、きちんと日の丸(だと思う。画面の左にある何か)にアタマを下げて、その後にまた記者を指差して怒鳴ってから退場している。なんというのか、人間に対する礼儀は踏み外しても、権威への服従のマナーを失っていないところに本物の奴隷根性を見た。感動した。》(こちら

 このツイートには、大きな反響があった。
 現時点で7000件以上リツイートされている。
 評判が良かったというのとは少し違う。
 どちらかといえば「荒れた」「炎上した」と言った方が正確だろう。

 たくさんの反応が返ってくるツイートが優れたツイートだとは限らない。
 実際には、このツイートのような、挑発的だったり悪質だったりするツイートの方が表面上の注目度は高かったりする。
 まあ、下品なダミ声の方が客を誘引する力は強いということに近い。

 私自身、このツイートは言い過ぎだったと思っている。
 具体的にどこが言い過ぎだったのかというと、「奴隷根性」という表現がよろしくなかった。

 今村大臣が、日の丸にアタマを下げる一方で記者を怒鳴りつけていた態度は、私の個人的な趣味とは相容れないものだ。
 が、そんな観察は私の側の一方的な思い込みに過ぎない。

 大臣が日の丸に一礼したことは、大臣個人の道徳観なり倫理観なりマナー意識の現れとして、尊重されてしかるべきものだ。赤の他人である私が、「奴隷根性」と決めつけて良いことではない。

コメント196件コメント/レビュー

>自己犠牲。
>挺身。
>私心の排除。
これら美しい心の持ちようを称揚したくなる人の気持ちは否定しない。が、後続の「その種の」道徳ーー天皇(の威光を笠にきる権力者、さらにはその仲間、利益を共有する企業etc)への自己犠牲.挺身.私心の排除を根付かせるための道徳ーーが教育勅語であることを認識しておかなきゃ。身も心も捧げろ、異論は挟むなってブラック企業経営者か。好き放題に下が忍従してくれればこれほどやりやすいことはない(そうして前は戦争に突入)。権力者が教育勅語に執着するわけだ。(2017/05/20 05:34)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>自己犠牲。
>挺身。
>私心の排除。
これら美しい心の持ちようを称揚したくなる人の気持ちは否定しない。が、後続の「その種の」道徳ーー天皇(の威光を笠にきる権力者、さらにはその仲間、利益を共有する企業etc)への自己犠牲.挺身.私心の排除を根付かせるための道徳ーーが教育勅語であることを認識しておかなきゃ。身も心も捧げろ、異論は挟むなってブラック企業経営者か。好き放題に下が忍従してくれればこれほどやりやすいことはない(そうして前は戦争に突入)。権力者が教育勅語に執着するわけだ。(2017/05/20 05:34)

>私個人は、「日の丸」という表象や、「国家」という枠組みや、「国体」という概念のような、「形式」としてわれわれの前に立ちはだかる「権威」に対して礼儀正しくふるまうことよりも、生きて動いている生身の人間の生命や感情を尊重することの方がずっと道徳的だと考えている。

ここから話がおかしくなっている。
筆者の間違った勘繰りにより、日の丸が「権威」と判断されたが為だ。(2017/05/11 15:14)

国を守るということをあえて教えてしまった結果、権力者にとって都合の良い、変な空気ができてしまった。まるで北朝鮮で指導者に忠誠を誓っている様な状態。勝てる訳の無い相手に強がる姿は太平洋戦争前の日本のよう。指導者にもの申せない空気ができると指導者が間違えても誰も止められない。恐ろしいことだ。(2017/04/29 07:13)

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