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マインドなき大臣が更迭されない理由

2017年4月21日(金)

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 山本幸三地方創生担当大臣が、4月16日、大津市内で講演を終えた後、観光を生かした地方創生に関する質疑の中で

 「一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。観光マインドが全くない。一掃しなければダメだ」

 と述べたのだそうだ(こちら)。

 最初に《「学芸員はがん」=山本担当相が発言》という記事の見出し部分を見た時、私は、単純に、意味がわからなかった。

 「どうして大臣が特定の学芸員の病状に言及しているのだろうか」

 と一瞬疑問に思ったほどだ。

 で、リンク先の本文を読んで、ようやく大臣の発言の真意を了解したわけなのだが、それでも、大臣の目指しているところと学芸員の仕事のどの部分が対立しているのかを理解できたわけではなかった。

 理由は、私自身が、学芸員の仕事と、地方創生担当大臣が担っている役割を正確に把握していなかったからだ。
 ついでに申せば、山本幸三という政治家の来歴や人柄についても、知識を持っていなかった。

 なんというのか、私は、はじめから最後まで、ろくに事態を掌握していなかったわけだ。
 こういう時、インターネットは頼りになる。

 大臣を批判する立場の人々と、大臣の発言を擁護ないしはフォローする人々との間でやりとりされている論争をひと通り眺めて、しかる後に、「学芸員」と「地方創生担当大臣」についてウィキペディアとネット上の各種辞書(私はJapanKnowledgeというところの会員制辞書サービスを利用している)を当たり、ついでのことに「山本幸三」で検索をかければ、15分前よりは、ずいぶん見識が高くなっている。

 無論、15分で身につけた情報は、その時間に見合った中味しか持っていない。至極薄っぺらな知識だ。
 とはいえ、簡単な感想を述べるだけのことなら、15分前とは別人に見える。その程度の粉飾は可能だ。
 一定の文章力を持っている書き手なら、この15分間で仕込んだネタを足場に、それらしいコラムを書くことだって不可能ではない。

 が、今回はそれはしないことにする。
 今回のこの件に関して、15分前までは学芸員の何たるかさえ知らなかった私が、あれこれときいたふうな説教を垂れることは、大臣がやらかした臆断とそんなに変わらないやりざまになると思うからだ。

 でなくても「相手をよく知らないからこそカマせる大胆発言」みたいなクリティカルヒットは、入社半年までの新入社員とグラビアアイドルだけに許された特権みたいなもので、私のような年嵩のコラムニストが人前でやってみせて良いことではない。

 ツイッターや巨大掲示板をざっと巡回して意外に思ったのは、大臣の発言を擁護する立場の人間が少なくないことだ。

 逆に言えば、この種の見解(学芸員に観光マインドを求めるみたいな考え方)が、一般に広く共有されているからこそ、大臣は、「がん」という強い言葉を使って学芸員の仕事を論難しにかかったのであろう。

 中には、こんな意見もある。
 これは、さる記事サイトにのったテキストで、タイトルもそのものズバリ
学芸員についての山本大臣発言は間違っていない
 となっている。

コメント100件コメント/レビュー

素晴らしいコラムでした。どうでもいいメディアの報道で大臣が更迭されるのはいい加減もううんざりです。メディアの報道内容が無責任すぎて、大臣の資質のどうこうを考える気持ちにすらなれない。もうずっと長いことそう思っています。別に大臣の問題に限らない。とにかく攻撃が目的になっている報道が目につく。しかも、こちらがうんざりしていることにメディアの側は気がついていない。情報をおしつけられるこちらの側の気持を代弁してくれる人が必要です。(2017/05/15 13:38)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「マインドなき大臣が更迭されない理由」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

素晴らしいコラムでした。どうでもいいメディアの報道で大臣が更迭されるのはいい加減もううんざりです。メディアの報道内容が無責任すぎて、大臣の資質のどうこうを考える気持ちにすらなれない。もうずっと長いことそう思っています。別に大臣の問題に限らない。とにかく攻撃が目的になっている報道が目につく。しかも、こちらがうんざりしていることにメディアの側は気がついていない。情報をおしつけられるこちらの側の気持を代弁してくれる人が必要です。(2017/05/15 13:38)

コメントの
>野党を批判し続ける人は、いまの日本を課題に思っていない人たち

こういう論理関係が破綻している印象論だけで批判するの方がおかしいだろう。

「野党批判」→「日本を課題に思っていない」事が繋がらない論理。
そもそも与党だろうが野党だろうがマスコミだろうが、批判すべき所は批判するのだよ。
マスコミ含めて、擁護は「野党」や「マスコミ」への物に偏っている位だ。
ココでの擁護とは、問題を「追求しない」「指摘しない」という所が大きいけどね。

正直、大臣の発言はどうかと思う所があるが、
実際の所、大臣に必要な能力って何だ?大臣の仕事って何だ?
中身より表面が大事なら、模範的行動が取れる役者を据えて置いたほうが良いと言う事だ。
政治家が名誉?高給取りの口実として大臣を使うよりマシだ。
大臣職につく先の知識や職務能力など怪しいものだがどうせコロコロ変わるなら。
どの道マスコミも大多数の国民も、ロクに判断能力がないから
判断できる範囲のモラル、発言、見た目や振る舞いしか評価できずに噛み付く。
マスコミ側は専門分野の見解を国民へ説明するのを放棄して馬鹿でも出来る事しかしない。(2017/05/02 17:17)

まぁ野党を批判し続ける人は、いまの日本を課題に思っていない人たちということであり、変える勇気もない人たちなんだろう。この記事の小田嶋氏を、政権批判イコール非国民としてレッテル貼る人たちは、同じ失敗を繰り返すだろう、戦前に回帰したい人たちなんだろう。もっと日本のことを、本質面から考えないと。(2017/04/30 11:31)

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三品 和広 神戸大学教授