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舛添都知事の会見に見る「説明責任」

2016年5月20日(金)

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 舛添要一東京都知事の金銭問題は、徐々に範囲を拡大しつつある。
 例によって

「政治とカネ」

 という見出しで処理され

「説明責任」

 という錦の御旗が振られる中、記者会見が繰り返される流れだ。
 会見の出来次第では、またしても知事の辞任が取り沙汰され、辞任が決まれば決まったで今度は新たな知事を選ぶための選挙が待っているわけだ。

 率直に言って、うんざりだ。
 「政治とカネ」にも「説明責任」にも「辞任&再選挙」にも、万事遺漏なく、隅々までうんざりさせていただいている。

 ひとつずつ説明する。
 まず、「政治とカネ」だ。

 これについては、今年の1月に書いた当欄のテキストの中で比較的詳しく書いているので、面倒でなければ再読してほしい(こちら)。

 リンク先の原稿で述べている通り、この10年ほど、「政治とカネ」という、このどうにも粗雑なタグが猛威を振るう流れの中で、わが国のメディアは、毎度毎度のモグラ叩き報道を繰り返している。おかげで、夏祭りで支持者にうちわを配ったみたいなケアレスミスと、贈収賄に相当する巨額の現金のやりとりが、同じマナイタの上で処理されることが当たり前になっている。

 「政治とカネ」報道のもたらす脅迫は、政治家の心から、独自の才覚で資金を集める意欲と情熱を奪い、結果として、政党交付金を差配する権益を握る党中枢の発言力を野放図に拡大させる事態を招いている。こうして、まず党内民主主義が死に、政治家はエアポンプからの酸素供給を断たれた金魚が水面で口をパクパクさせるみたいに、党の言いなりになっている。

 個人的に、舛添さんの事案については、罪の大きさに見合った、適切な制裁が課される結末を希望している。
 というのも、この種の政治とカネがらみの報道では、どうかすると

「巨額であるがゆえに用途や実態のわかりにくい疑獄案件」

 よりも、

「庶民にも容易に見当のつくセコいごまかしやチョロまかし」

 の方を強い調子で断罪されがちだからだ。

 特にマスメディアがネット上の匿名クレーマーの集団行動に影響を受けることが当たり前になっているこの10年ほどは、

「大きな罪よりわかりやすい失態」
「巨大な悪よりセコいズル」
「複雑な犯行よりキャッチーなフレーズ」

 に重心を置くことが、ニュース番組の視聴率を上昇させ、雑誌の部数を増し、ニュースサイトのページビューを稼ぐための必須の編集方針になっている。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「舛添都知事の会見に見る「説明責任」」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師