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“良識ある”民主主義の愚かな決定

2016年7月1日(金)

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 英国がEUから離脱する、と、国民投票で決まった。
 なんと言っていいのやら。適切な言葉が見つからない。

 Webを掘り進めて、各メディアに掲載されている解説記事を読んで、内外の有識者のコメントに耳を傾ければ傾けるほど、何が起こっているのかがわからなくなる。

「何を言ってるんだ。結論は極めてシンプルじゃないか」

 と言う人がたくさんいることは知っている。
 そういうふうに自信を持って断言できるタイプの人は、おそらく日本で同じような国民投票が行われることがあったのだとしても、同じように自信に満ちた態度で一方の結論を選ぶのだろう。

 私はそういうタイプではない。
 わからないことはわからない。

 しかも、直感で理解できないことについては、考えれば考えるほどわからなくなる。昔からそういうことになっている。

 なので、現時点では、英国のEU離脱そのものについて何かを言おうとは思っていない。
 どちらかといえば、彼の地の国民投票がEU離脱を選択する結果に落着したことへの、内外の反響から浮かび上がってくる感慨についてあれこれ書いてみたいと思っている。

 まずひとつ目は、今回の投票結果を踏まえて「ポピュリズムの怖さ」という言い方が蔓延していることの不気味さについてだ。

 もう少し詳しく言うと、ここしばらく、メディアに載る記事やテレビの中で紹介されるコメントの中で「民主主義」という言葉と「ポピュリズム」という言葉が、無造作に使い分けられている感じがして、そのことがずっと気になっているということだ。

 なんというのか、投票や世論調査の結果で、望ましくない結果が出た場合に、その結果をもたらした調査の過程や投票の背景を「ポピュリズム」という言葉で分析している同じ人間が、望ましい投票結果については、「民主主義の勝利」「民意の重い選択」という言葉でそれを賞賛している感じがしているわけです。

 悪い結果はポピュリズムの作用で、良い結果は民主主義の成果だと言っているその人たちの中で、両者の区別はついているのだろうか。区別がついているのだとして、その区別の根拠は、自分にとっての結果の好ましさ以外に、何があるのだろうか。

 「民主主義」と「ポピュリズム」を分かつものの正体について、はっきりとした言葉で言及している人は少ない。

 実際、メディアを通してものを言う人間にとって、このあたりの議論は墓穴になりかねない。

 なんとなれば、「民意」や「民主主義」とされているものについてうっかりものを言うと、「愚民蔑視」「大衆蔑視」「選民思想」と決めつけられてしまうからだ。

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「“良識ある”民主主義の愚かな決定」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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