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戸籍謄本開示と魔女裁判について

2017年7月14日(金)

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 こういうことが当たり前になれば、開示しないところについてさらに公開圧力が増すのは目に見えている。悪い前例ができれば、日本中にあまた散らばっているはずの帰化者や混血の子どもたちが影響を受ける。彼らだけではない。帰国子女や、外国生まれで出生地の国籍をあらかじめ併せ持って生まれてきた日本人や、ほかの民族の血筋に連なる日本人や、あるいはたまたま異国的な風貌を持って生まれてきた子供のような、「誰の目にも一目瞭然で日本人とわかる典型的な多数派の日本人」とは別の、「マイノリティーの日本人」が、様々な場面で、戸籍の全面開示を求める圧力にさらされることになるはずだ。こういうバカな近未来を招来してはならない。

 今回述べたいことの本筋ではないし、ここが論点で荒れるのは面倒だが、改めて述べれば、私自身の「二重国籍」の件自体についての認識は、昨年の9月に当欄で書いた内容から基本的には変化していない。

 ひとことで言えば、蓮舫氏が、日本国籍を有している以上、国会議員として、また、公党の代表として執務するにあたって、法律的な問題はないということだ。

 彼女のもともとの国籍(台湾籍)が、どの時期にどういう経緯で処理され、現在どういうことになっているのであれ、また、その自分の過去の国籍についての彼女自身の認識が事実に即した正確なものであったのであれそうでなかったのであれ、すくなくとも、蓮舫氏が、現に日本国籍を有している限りにおいて、その余のことは言ってみれば瑣末事で、大筋としてはたいした問題ではないのだと考えている。

 つまり、二重国籍であるのだとしてもそれがただちに法律違反にはならないということだ。

 相手が政治家であれ公務員であれ、二重国籍を「疑惑」と呼び、それを問題視し、戸籍の開示を迫ることは、外国籍を持っている(あるいは持っていた)日本人に対する差別と言っても過言ではない。

 何人かの人が既に指摘していることだが、わが国では、2007年に、ペルーの元大統領であり、日本とペルーの二つの国籍を有する明らかな二重国籍者でもあるアルベルト・フジモリ氏が、国民新党(当時)から参院選に立候補した事例がある。この時、フジモリ氏の立候補は当局によって何の問題もなく受理された。二重国籍であることを理由に彼の立候補に異を唱える声も特に出なかった。本国のペルーで、大統領が二重国籍であることを隠していたことが批判されていたにもかかわらず、だ。とすれば、今回、蓮舫氏の二重国籍だけが問題化されているのは、話のスジとしておかしい。

 蓮舫議員に関して
 「中国のスパイだ」
 といった種類の中傷が、いまだにネット上にあふれていることからしても、彼女の国籍に執着する人たちの質問は、あまり真に受けるべきものではない。

コメント172件コメント/レビュー

R舫を叩いてる方は、仕組みを理解する力がない
(あるいは、わかっててわざと間違えてる)ってことで、
まあ、相手にするほどのこともないですが、
おっしゃる通り、「私で最後にしたい」とかいいながら、
結局は、戸籍に関する情報を開示しちゃった方も、
とんでもない悪しき前例を作ってることについて
覚悟や意識が薄いですよね。
憲法の精神の根幹を否定するような、
戸籍によって生じる差別の問題をどう考えてるのか?
どっちもどっちというか、、、
今に始まったことではないが、
政権交代の受け皿になろうって人たちが、この調子では、
暗澹たる気分です。。。(2017/07/27 11:41)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「戸籍謄本開示と魔女裁判について」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

R舫を叩いてる方は、仕組みを理解する力がない
(あるいは、わかっててわざと間違えてる)ってことで、
まあ、相手にするほどのこともないですが、
おっしゃる通り、「私で最後にしたい」とかいいながら、
結局は、戸籍に関する情報を開示しちゃった方も、
とんでもない悪しき前例を作ってることについて
覚悟や意識が薄いですよね。
憲法の精神の根幹を否定するような、
戸籍によって生じる差別の問題をどう考えてるのか?
どっちもどっちというか、、、
今に始まったことではないが、
政権交代の受け皿になろうって人たちが、この調子では、
暗澹たる気分です。。。(2017/07/27 11:41)

国籍がふたつあっても、「わたしは日本のために働きます」という意志と宣言(証拠)があれば何国の方でもよろしい気はしますが…でも、何かあった時に疑う人は疑いますよね。「手心を加えたんじゃないか?」「こう言ってるけど本心はどうなんだ?」「ないない言ってるけど、本当はあったんじゃないか?」とか。…あれ、日本国籍のみであろう首相も言われてることですね。まとまらない。すみません。(2017/07/24 17:30)

「二重国籍」の問題と「戸籍謄本開示」の問題は別問題。

何があっても蓮舫氏は(一部であっても)戸籍謄本の開示をすべきではなかったし、周囲も戸籍の開示を求めるべきでなかった。

マイノリティに対する差別につながりかねない行為を代表自らが行ったのだから、これは民進党の自殺行為。極めて残念。

グローバルな時代、二重国籍者が増える一方、国籍に関する決め事は(我が国の承認の有無にかかわらず)それぞれの国家の法令によって決められているので国籍の離脱は容易でないこともある。法の建前から言えば、国家権力の行使に関わるものが二重国籍であっては困るが、今後、二重国籍者の国籍離脱あるいは他国の国籍を離脱したとみなすルールをきちんと作っておかないと、いずれまた魔女裁判が繰り返されるであろう。(2017/07/24 12:29)

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