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戸籍謄本開示と魔女裁判について

2017年7月14日(金)

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 民進党の蓮舫代表が、近々「戸籍(謄本)」を公開してご自身のいわゆる「二重国籍」問題を説明する意向だ、と報じられた(こちら)。

 まったく予想していなかったニュースで、正直なところ、びっくりした。
 というのも、この問題は、すでに終わった話だと思っていたからだ。

 「終わった話」というのは、「きれいにカタがついた話」という意味ではない。「世間はもう忘れている」という意味に近い。いずれにせよ、私は、いまさらこんな話を蒸し返すのは、不自然な態度だと思っている。

 単に不自然なだけではない。
 不適切で不道徳で不気味で、そして、少々不憫でさえある。

 もう一度言うが、世間は忘れている。
 それ以前に、そもそも、はじめからたいした問題だと思っていない。

 仮に、蓮舫氏が二重国籍だったのだとして、
 「それがどうしたの? 二重国籍で何か問題があるわけ?」
 といったあたりが、現代に生きている多数派の日本人の平均的な認識なのであって、だからこそ、彼女の二重国籍問題のニュースは、去年の9月に一時的にメディアを賑わせたものの、ほんの半月ほどで忘れ去られた、と、少なくとも私はそう考えている。

 ちなみに、日本テレビが昨年の9月に実施した世論調査(こちら)では

《民進党の新しい代表に選ばれた蓮舫議員は、日本国籍以外に、台湾籍を持っていたことがわかりました。あなたは、このことについて、どのようにお考えですか?》

 という設問に、以下のような回答が寄せられている。

 (1) 国会議員がいわゆる二重国籍であることは問題だ 14.6 %
 (2) 当初の発言と食い違っていたことが問題だ 15.5 %
 (3) 日本国籍を持っており問題ない 30.4 %
 (4) そもそもいわゆる二重国籍自体を問題にすることはない 31.7 %
 (5) その他 1.1 %
 (6) わからない、答えない 6.7 %

 その、時間の砂の下に埋もれたはずのゾンビネタを、またぞろ掘り返して白日の元に晒すことに、いったい何の意味があるのだろうか。
 また、掘り返そうとしている人々は、いったいどのような狙いを持って、それをしているのだろう。

 もしかして、蓮舫氏は、この約1年ほどの間、戸籍の開示を迫る周囲の圧力をずっと感じていて、ついに耐えられなくなって、戸籍の開示を決意した、と、これは、そういうスジのお話なのだろうか。

 それとも、彼女は、都議選の惨敗に伴う内外からの批判を、戸籍開示という自爆ネタをカマすことで有耶無耶にしようと画策しているのであろうか。あるいは、あえて万人の前に戸籍を晒される「被害者」のポジションをとることで、苦境を打開するつもりでいるのだろうか。

 …と案じていたら、13日に本人が記者会見で「戸籍謄本そのもの(を公開する)という風には言っていない」と発言した(こちら)。やれやれ。だが、ともあれ、公開する内容をどうこう言う前に、私は、もっぱら、「公人が(一部であれ)戸籍謄本を開示することの副作用」を心配している。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「戸籍謄本開示と魔女裁判について」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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