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いや、ここは「そもそも論」でしょう。

2015年7月24日(金)

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 新国立競技場の計画案は、白紙撤回されることになった。
 近来にないグッドニュースだと思う。

 とはいえ、積極的に良いことがはじまったわけではない。何か意義ある仕事が達成されたわけでもない。単に、最悪の事態を避けるための道筋が定まったということにすぎない。

 つまり、このたびの白紙撤回の決断が、歓迎すべき展開であることは確かなのだとして、だからといって、この決断を誰かの手柄や功績として手放しで賞賛するわけには行かないということだ。

 むしろ、この期に及んで白紙撤回というリスキーな決断をせねばならないところにわれわれを追い込んだ人間なり組織なりの名前を明らかにして、その彼らに責任を取ってもらわなければならない。そうでないとスジが通らない。

 大勢の人間がひとつの決断に沿って行動する時には、その決断が誤りであった場合に責めを負うことになる人間を、あらかじめ確定しておかなければならない。

 昔の船乗りは、船が難破した時に備えて、生贄として海の神に捧げるための人間をあらかじめ船に乗せた上で出帆したものなのだそうだが、そこまでのことはしないまでも、計画が思惑通りに進まなかった際の責任の取り方については、プロジェクトに関わる人間の間で常に共有されていてしかるべきではある。

 特に、公の資金を何千億も動かすことになる国家的なプロジェクトでは、責任の所在をはっきりさせておくことが、資金源たる国民に対する義務になる。

 ところが、今回の新国立競技場の計画に関しては、責任の所在がいまだにはっきりしていない。

 この半月ほどの報道の中で、基本デザインを担当した建築家や、そのデザイン案を選んだ審査員の名前が何度も取り沙汰されたが、普通に考えれば、国が主体となって進めているプロジェクトである以上、最終的な責任は、権限の集中するポストに就いている人間が受けとめなければならないはずだ。

 が、安倍晋三首相は、白紙撤回されることになった今回の計画を推進していた人々の責任について、明言を避けている。

 7月20日に生出演したフジテレビ系のニュース番組「みんなのニュース」の中で、首相はこの問題への質問に対して
「誰に責任があるとか、そもそも論を申し上げるつもりはない」
 と述べている(こちら)。

 そもそも論?
 どういうことだろうか。

 私は、首相がこのタイミングで「そもそも論」という言葉を持ち出して来たことに、当惑している。
 いったいどういうつもりでこんな言葉を使ったのだろうか。

コメント77

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「いや、ここは「そもそも論」でしょう。」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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