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哀愁の中高年トレーナー

2016年8月5日(金)

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 ポケモンGOを少しずつ進めている。

 現在、トレーナーレベルが13で、ポケモン図鑑に記載したモンスターは51種類だ。
 ちなみにゲーム開始からの歩行距離は12日間で26.2km、捕獲したポケモンの総数はのべ291匹になる。

 面白いか、と?
 その質問に答える前に、ポケモンGOをプレイしているおっさんが浴びなければならない世間の反応の冷たさについてご報告しておきたい。

「えっ? いいトシしてポケモンですか?」
「ははは。スマホ歩きしてホームから転落したりしないように」
「あんなもの、どこが楽しいんですか?」
「お前ってああいうのに飛びつくタイプだったっけ?」
「そういえばうちの近所の公園にも、フラフラ歩いてる挙動不審の連中が真夜中までたかってるな」
「ああ、あれな。駅前のベンチのところに人だかりがしてるからなんかの宗教かと思った」
「で、もう飽きましたか?」

 まあ、半ば予想のついていた展開ではある。
 この種の突発的な流行に乗っかった人間が冷遇されるのは、いまに始まった傾向ではない。

 特に、それまで世の中に無かったものが登場したタイミングでは、必ずや「○○亡国論」式の言説が勃興することになっている。

 実際、われわれほど亡国論好きな国民は、ほかにいない。
 もし仮にこの国を滅ぼすものがあるのだとしたら、それは亡国論好きの国民性であるはずだと、私は半ば大真面目にそう考えている。

 というのも、亡国論を唱えるのは、何であれ理解の及ばない変化を嫌う人々で、この先、予測を超えた出来事が続くであろう時代に、いち早く没落して行くのは、そうした新しく登場したものへの寛容さを欠いた国家であるに違いないからだ。

 ウォシュレットも、紙おむつも、パソコンも、スマホも、それらがこの世界に登場したばかりの頃は、人間の自然な生き方を阻害し、子供たちの発育を捻じ曲げる悪魔の発明だってなことで、さんざんなバッシングを浴びたものだった。

 紙おむつに関しては、私自身、いくつかの週刊誌が「おむつ替えを通じて自然にやりとりされる母と子のスキンシップを阻害し、母子関係を致命的に破壊する」という主旨の反対キャンペーンを展開していたことをいまでも覚えている。ほかにも、「布おむつに残存する尿や便の不快さが自然に育んでいた赤ん坊の排尿・排便制御のトレーニングを台無しにする」であるとか「布おむつを洗濯することの手間が母親の自覚を促す」であるとか、「紙おむつは環境破壊の一大原因になる」といったあらゆる種類の糾弾の声が、およそ10年間にわたって執拗に繰り返されていた。

 私の世代の者は、紙おむつを子育てに利用した最初の世代だった。
 同時に、紙おむつを使うことを上の世代の姑や教育評論家や有識者や文化人にねちねちと非難され続けた母親の世代でもある。われわれが、マスコミ(特に週刊誌)報道を信用しない最初の世代になった背景にはそういうことがある。

 マスメディアは、新しいものの味方でもなければ、正しい者の擁護者でもない。

 彼らは、単に数の多い人間たちの声を代弁しているにすぎない。そして、何であれ新しいものは、それが登場した時点では、異端の外形を纏っており、一方、多数派に属する人間たちは、常に新しい異端を排除する審問官の立場でものを言うことになっている。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「哀愁の中高年トレーナー」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官