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“採点”するなら、あれは百点満点だった

2015年8月21日(金)

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 安倍晋三首相のいわゆる「戦後70年談話」を題材に原稿を書く仕事は、すでに間抜けな作業に変貌しつつある。

 なぜなら、談話発表からほぼ1週間を経て、左右両陣営の論客ならびに有識者諸氏の口の端から、ひと通りの「解釈」が出揃っているからだ。それゆえ「談話」の読み解き方について、新たに付け加えるべき論点は、ほとんど残っていない。ということは、このタイミングでいまさら私が何を言ったところで、誰かの受け売りだと思われるのがせいぜいだということでもある。

 なので、この原稿では、あれこれと「解釈」する書き方とは別の方法を採用したいと思っている。

 談話発表以来、様々な立場の人々のコメントを読み比べながら、私が一番強く感じたのは、21世紀の人間である私たちが「解釈」という病にとりつかれているということだった。

 どうして、われわれは、行間を読み、空気を読み、裏を読み、背景を読み、影響を読みたがるのだろう。
 なにゆえに私たちは、虚心に文章を読み、演説に耳を傾ける態度を軽視しているのだろうか。

 ともあれ、今回は、私たちが熱中している「解釈」というゲームの功罪について考えるところから出発してみる。

 談話が読み上げられ、その全文が新聞社のサイトにアップされるや、ツイッターのタイムラインには、早速、様々な「解釈」や「読み解き」が公開され、それらの解釈に対する賛否の声が行き交うことになった。

 テレビはテレビで、スタジオに「反省」「謝罪」「植民地支配」「侵略」という文字が書き込まれたパネルを用意して、それらのキーワードが使われているかどうかを同時進行でチェックする体制で、「談話」を生中継していた。

 思うに、「談話」の原稿がああいう内容に着地したのは、それを評価するメディアや評論家や外交筋や各国政府が、談話の原稿を切り刻んで「解釈」することを、原稿の書き手であるスピーチライターがあらかじめ熟知していたからだ。

 スピーチライターは、自分がこれから書き起こすテキストが、ひとまとまりのスピーチとして、耳を傾けられ、読まれ、評価される以前に、逐語的に解釈され、表現の細部をあげつらわれ、言葉尻をとらえられ、片言隻句を取り上げて引用されながら突っ込まれることを、事前に十分意識した上でテキストをタイプしはじめたわけで、だからこそ、彼の書いた「談話」は、ああいうものになった。すなわち、どこをどう読んでも明確な突っ込みどころの見つけられない極めて専守防衛的な文章として、われわれの前に展開されたのである。

 この時点で受け止め方は、二通りに分かれていた。

 ひとつは、スピーチ原稿の出来栄えの見事さを賞賛する声だ。
 注意しなければならないのは、あのスピーチの原稿を賞賛していた人たちの多くが、その内容を評価していたわけではないということだ。
 むしろ彼らは、談話原稿の「内容の無さ」を評価していた。

コメント130件コメント/レビュー

今回の内容が結構核心をついていてアベシンパの琴線に触れているのがコメントを見ていてよくわかります。

個人的には70という数字を節目にみたてようとする官邸側の策略に乗せられている世論の検証が見てみたい。(普通数字の節目なら50の次は60、75、100となりそうなものだが)(2015/09/08 15:16)

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「“採点”するなら、あれは百点満点だった」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

今回の内容が結構核心をついていてアベシンパの琴線に触れているのがコメントを見ていてよくわかります。

個人的には70という数字を節目にみたてようとする官邸側の策略に乗せられている世論の検証が見てみたい。(普通数字の節目なら50の次は60、75、100となりそうなものだが)(2015/09/08 15:16)

分かってないね!「首相談話」は、外交の専門家や、大学の先生や、ジャーナリストや評論家のみに向けて発表されているものであって、一般の人間である私たちだ向けではありません。。(2015/09/06 10:24)

読後がすっきりとせず,消化不良でした。(2015/09/06 06:48)

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