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この禁煙条例は炎上して灰となるべし

2017年9月15日(金)

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 東京都議会の最大会派である都民ファーストの会と公明党が、子供のいる自宅やマイカーでの喫煙を禁止する条例の制定に向けて、関係団体からヒアリングをはじめたのだそうだ(こちら)。

 この条例案とは別に、小池百合子東京都知事は、9月8日の定例会見で、飲食店など建物のなかを“原則禁煙”とする罰則付きの条例を制定する方針を明らかにしている(こちら)。

 タバコをめぐる議論は必ず荒れる。
 なので、私は、ふだん、タバコ関連の話題には触れないことにしている。

 個人的に思うところがないわけでもないのだが、炎上覚悟で押し通したいと思うほど明確な自説を持っているというのでもない。であるからして、この議論に関しては、いずれ落ち着くところに落ち着くのだろうと思って静観している。なんというのか、この種の問題については、あえて自分からは関与せずに、世論の収束するところに従おうと考えている次第だ。

 ただ、「子供のいる家での禁煙」を努力義務とした「子供を受動喫煙から守る条例」には、第一感で懸念を抱いている。

 ということもあるのだが、それ以上に、個人の家庭内に手を突っ込もうとする政治家の意図に不穏なものを感じるからだ。

 子供が、受動喫煙に晒されるのはよろしくないことだ。
 この点について、おそらく議論の余地はない。

 ただ、家庭という私的な空間は、そこで暮らす人間が、自己の責任と意思によって自由に運営して良いことになっているはずの空間だ。

 有害であれ、無作法であれ、自分の部屋の中では、人は思うままにふるまう権利を持っている。全裸で過ごそうが、ウイスキーのビール割りを丼飯にぶっかけて食べようが、よしんばその種の愚かな暮らし方が本人の寿命を縮めることになるのであれ、私室での過ごし方を他人にあれこれ指図される謂れはない。

 「子供の受動喫煙防止」という目的に異論は無いが、子供を盾にする議論の組み立て方は好みに合わない。都民ファーストの会が導入を検討している「私室での喫煙の禁止」を含む条例は、なにより、市民の私的空間での私的行為への権力の介入を許しているという点で、看過できない。

 もうひとつ、室内禁煙条例は、単なる受動喫煙の問題とは別に、小池都政が、オリンピックを口実にマイノリティから権益を取り上げようとしている問題の端緒と考えることができる。

 とすると、これも軽視して良い動きではない。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「この禁煙条例は炎上して灰となるべし」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師