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国難は解散したあとに来る

2017年9月29日(金)

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 前回に引き続き選挙の話をするつもりでいる。

 とはいえ、現時点で言えることは少ない。
 予測なんてとてもできないし、現状分析さえおぼつかない。
 それでもあえて選挙についての文章を書こうと思っているのは、主に記録のためだ。

 もう少し丁寧に言えば、すべてが終わって結果が出た後に、何が起こっていたのかをあらためて振り返って考えるための材料として、現時点で見えていることを、なるべく見えているままの形で記録しておこうと考えている、ということだ。

 一昨日までの状況は、昨日(9月27日の水曜日)になって一変した。
 それで、何もかもわからなくなった。
 以下、主だった政党別に、状況を整理しておく。

 自民党の状況は、一週間前とそんなに変わっていない。
 とはいえ、周辺の状況が一変したことで、この先、選ぶべき戦術には、大幅な修正が求められることになるだろう。

 そもそも、今回の選挙は、安倍晋三首相の個人的な独走がもたらしたものだ。
 ここが出発点だ。

 つまり、現今の混乱状況を安倍首相周辺がどう評価しているのかはともかくとして、この混乱は、首相ご自身が自分で招いたものであり、いわゆる“大義なき解散”がもたらした当然の帰結だということだ。

 ともあれ、安倍さんが、唐突に解散を決断した理由が、「国難突破」のためであったのかどうかは、たった一日で、もはやさして重要な争点ではなくなっている。

 3日もしたら、「国難突破解散」というこのフレーズ自体、忘れ去られていることだろう。
 26日の段階では、解散に大義があるのかどうかは、わりと重要な論点だった。
 とりあえずこのことを書き残しておきたい。

 26日までの数日間に、いくつかのメディアから電話取材を受けた。それらへの回答の中で、結果として記事に反映されたのかどうかはともかく、私は、おおよそ以下のようなことを述べた。

1.「国難」という現状認識、ないしは問題設定がそもそもズレている:「国民」は多様な人々を含んでおり、それぞれ(年齢、性別、経済状況、就業の有無、家族形態、健康状態などなど)によって、直面している課題やかかえている困難は様々だ。それらを「国難」などという粗雑な言葉で一括することはできない。強いていえば、北朝鮮をめぐる情勢は「国難」と呼ぶにふさわしいものではあるが、それは解散にはなじまないどころか、解散を許さないはず。

2.「突破」という態度が間違っている:百歩譲ってわが国が「国難」に直面しているのだとして、だとしたら、政府は、その国難に「対峙」「対応」しつつ、対応策を国会で議論し、解決策を模索し、状況を改善すべく努力するべきであるはずで、「突破」などという思考停止を含んだ語句(「一心不乱」の「玉砕」戦法的で、「特攻精神」っぽい)で、国民的団結を促すような取り組み方は、柔軟性を欠いていて危うい。

3.「解散」という手段が狂っている:「国難」を「突破」するための手段として「解散」を持ってくる理屈に、まったく論理的なつながりが無い。仮に国難を突破するつもりでいるのなら、求められるのは、むしろ国会の早期開催であり、徹底的な審議であり、知恵の結集であるはずで、「解散」は、それらの課題を真っ向から否定する意味で最悪の打ち手だ。

 この分析自体、解散以前の時点で総選挙の前提となっていた政治状況がまるごと破壊されてしまったいまとなっては、ほぼ、意味を失っている。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「国難は解散したあとに来る」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官