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病床からの本音を述べたい

2016年10月7日(金)

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 透析患者を罵倒する文言を掲載したブログ記事で注目を集めていた元民放キー局のフリーアナウンサーが、自らの発したメッセージへの反響に追い立てられる形で、現在、どんな境涯を迎えているのかについて、読者諸兄は、いまさら私が説明するまでもなく、既に、大方の事情をご存知だと思う。

 炎上開始当初、強気一点張りで批判に反駁していたフリーアナウンサー氏が、レギュラー番組降板の通告以降、一転して反省らしい言葉を口にしはじめたなりゆきや、その彼の謝罪芝居が、ほとんど効果を発揮することなく、結果、「レギュラー週8本を舐めるなよ」と息巻いていた彼自身が、テレビ画面への出演機会をすべて喪失するに至っている経緯も、すでに万人周知の事実と言って良い。

 その意味からすれば、長谷川豊氏をめぐるこのたびの一連の因縁話は、わざわざ連載コラムの話題として取り上げるには値しない、ページ汚しのトピックなのかもしれない。

 つまり、わざわざ書くまでもない、と。
 でも、せっかくだから書くことにする。
 読者のためにではない。
 今回は私自身のために書く。

 もう少し詳しく言えば、今回、私は、自分の感情をなだめるために、書きかけの原稿を仕上げる必要があると判断したということだ。

 先週は、入院が延長されたということで、当欄の配信を休ませてもらった。

 が、正直なところを申し上げるに、私は、はじめから執筆に取り掛かる気持ちを持っていなかったのではない。

 実際には、書き始めたものの、完成させる気力を持ちこたえることができずに、結果として、途中で断念した形だ。

 18日間の入院期間中を通じて、私は、長谷川豊氏の言動を継続的にチェックしていた。

 理由は、腹を立てていたからだ。
 私が、衰えた気力と体力のかなりの部分を費やして、この話題を追っていたのは、私が、長谷川豊氏のものの言い方や考え方のいちいちに強く反発していたからだ。

 で、先週の当欄で、この話題を取り上げる気持ちを持っていた。
 直前まで、そのつもりで準備をしていた。
 が、結果として、果たせなかった。

 途中で執筆を断念したのは、書き進めていたテキストが、あまりにも理屈っぽくて、自分ながら読んでいて辟易したからだ。

 感情的な書き手は、往々にして論理に頼った書き方をする。
 逆に言えば、過度に論理がオモテに立った文章を書く人間は、実は感情的になっているケースが多いわけで、私はまさに、腹を立てて屁理屈を振り回していた。

 で、感情の暴発に閉口して、執筆を断念した次第だ。

コメント129件コメント/レビュー

>人権が尊重されるのも、公共の福祉に反しない限り、という条件つきです。

ある人物の存在が公共の福祉に反するかどうかを誰がどうやって決めるんだ、
というのがまさしくこのコラムの趣旨なのでは。

この広い世の中にはあなたと違う考えを持った人もたくさん居るでしょう。その人達があなたのコメントを読んだら不快な気分になるでしょう。
そこで私が「お前のせいでたくさんの人が不快な気分にさせられた。だからお前は公共の福祉に反する存在だ。だからお前に人権は無い、しね」などと言ってしまったらどうなるのでしょうか。
きっとあなたは「お前にそんな事を決める資格があるのか」と反発するはずです。

これを実際に言ってしまったのが長谷川さんであり、世の大多数の人々は「長谷川にそんな事を決める資格があるのか」と反発しているわけです。
あなたの言葉を借りるなら、公共の福祉に反しているのは透析患者ではなく長谷川さんのほうだった、ということです。(2016/10/13 20:24)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「病床からの本音を述べたい」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>人権が尊重されるのも、公共の福祉に反しない限り、という条件つきです。

ある人物の存在が公共の福祉に反するかどうかを誰がどうやって決めるんだ、
というのがまさしくこのコラムの趣旨なのでは。

この広い世の中にはあなたと違う考えを持った人もたくさん居るでしょう。その人達があなたのコメントを読んだら不快な気分になるでしょう。
そこで私が「お前のせいでたくさんの人が不快な気分にさせられた。だからお前は公共の福祉に反する存在だ。だからお前に人権は無い、しね」などと言ってしまったらどうなるのでしょうか。
きっとあなたは「お前にそんな事を決める資格があるのか」と反発するはずです。

これを実際に言ってしまったのが長谷川さんであり、世の大多数の人々は「長谷川にそんな事を決める資格があるのか」と反発しているわけです。
あなたの言葉を借りるなら、公共の福祉に反しているのは透析患者ではなく長谷川さんのほうだった、ということです。(2016/10/13 20:24)

長谷川さんのことはまったく知らなかったので、興味深く読みました。それで、本人のブログや日経BPにあったインタビュー記事なども合わせて読んでみましたが、どうやら本人は書き方に問題があったと反省はしているようですが、彼の考え方そのもの(医療費抑制のために不摂生で透析になった人には死んでもらったほうがいい)は撤回する気はないように見受けられました。理由はどうあれ人工透析を受けている人はそれを止めてしまうと死んでしまうのであって、臆せずに面と向かってそういうことを言えちゃう人はちょっと人間的にどうなのかなと思いました。小田嶋さんと同意見です。

この日本での騒動は私にとってもっと身近なドナルド・トランプの騒動と比較していろいろと考えさせられました。長谷川さんが日経BPのインタビューで放った「乱暴な言葉は本音に見えるんですよ。たとえ本音ではなくっても」という言葉は私にとって非常に意味深でした。というのもトランプも乱暴な言葉遣いで、既存の政治家と違って本音トークできる人という評価が支持者の間でのもっぱらな評価なので。困ったものです。(2016/10/13 03:55)

オチが良かった。ぜひ読むべき。(2016/10/12 18:01)

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