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ジョーカー、戴冠へ

2016年11月11日(金)

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 米国の大統領選挙は、ご案内の通り、ドナルド・トランプ氏の勝利で決着した。
 お恥ずかしい話だが、私はこの結果を、ほとんどまったく予期していなかった。

 3カ月ほど前までは、トランプ氏が大統領の椅子に辿り着く可能性を、多少は勘定に入れていた。

 が、10月の最終段階のテレビ討論会を見て、私はトランプを見限った。
 この様子では、仮にクリントンの側が多少のスキャンダルに見舞われたとしても、逆転することは不可能だと判断した。

 両候補の間にある実力差は、私の目には、メジャーリーガーと甲子園球児の間にあるそれと比べても遜色ないほど明らかに見えた。

 対外的に話をするケースでは、発言の語尾に一応の含みを残すことを心がけていたものの、それも、言ってみれば、断定を避けるものの言い方を通じて自分の知的さをアピールしていただけの話で、内心では100パーセント、ヒラリー・クリントン氏の勝利で鉄板だと確信していた。

 それが、フタを開けてみれば、こういう結果になっているのだから、世の中はわからない。私は、民主主義への信頼を撤回するか、でなければ、自分の脳みそを信用することをやめるべきなのかもしれない。

 いずれにせよ、こういう時は、何かを改めなければならない。 
 でないと、先に進むことができない。

 8月30日の夕刻、私はツイッターに以下のようなコメントを書き込んでいる。

《ここへ来てのトランプ候補の自滅っぷりを見るに、アメリカは、大統領選挙の手順の複雑さ(というか、約一年に及ぶ慎重な選出過程)に救われているように見える。大統領選出レースが、もっと単純な一発勝負の人気投票だったら、ずっと早い段階でトランプが勝利してしまう結果もあり得たと思う。》(こちら

 この見方は、つい昨日まで変わらなかった。
 私は、米国の大統領選挙の選出過程の複雑さを高く評価していた。

コメント74件コメント/レビュー

戦後、西欧や日本で共有化されていた(はずの)民主主義、自由主義、人道主義といった理想はもはや崩壊したのだろうか。これからの世界はどんな理想を掲げるのか。もう理想などないのかもしれない。それぞれの国家、民族、社会、個人がエゴをむき出して争うしかないのか。(2016/11/16 02:21)

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「ジョーカー、戴冠へ」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

戦後、西欧や日本で共有化されていた(はずの)民主主義、自由主義、人道主義といった理想はもはや崩壊したのだろうか。これからの世界はどんな理想を掲げるのか。もう理想などないのかもしれない。それぞれの国家、民族、社会、個人がエゴをむき出して争うしかないのか。(2016/11/16 02:21)

>今更ですが、何故直接選挙じゃないんですかねー?

仰るとおり「州毎の選択を尊重するため」だと思います。米国は連邦制ですから、各州を独立国家と看做し「国連で一国一票を行使するようなもの」とイメージすれば分りやすいかと。
とにかく米国は国家への権力一極集中を極端に嫌います。例えばFRBも「米国中央銀行」ではなく「連邦準備制度」(各地域の準備銀行を束ねる委員会)ですし、その実質的な中央銀行制度であるFRBを発足させるのにも長い期間抵抗があったくらいです。大統領を直接選挙で選ぶ国が多いなか米国がそうしないのは、州を飛び越えた意思決定により州としての独立性が揺らぐのを制度上の建前だけでも避けたい、という思惑があるためだと推察します。
それより問題なのは2大政党制のほうではないかと個人的には思っています。1年以上に亙って相手を誹謗中傷したら国民が分断されない方がおかしいでしょうに。「坊主憎けりゃ・・・」の喩えどおり、是々非々での政策議論が出来なくなる危険が大き過ぎます。(2016/11/15 09:43)

日本国内の事例からだって、これまでいくらでも学ぶ機会はあったはずですが・・・。
海外でこうした結果が出ないと自分の考えを改めることが出来ない様ではこの先思いやられますよ。(2016/11/14 16:18)

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