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老人ホーム連続転落死に見る「介護崩壊」の予兆

90歳入所者が暴露した「“豪雨”の介護現場」のリアル

2016年2月23日(火)

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 今回は「介護現場のストレスの傘」について考えます。

 以下のメッセージは、私の知人でもあり、最高齢の“友人”でもある90歳の女性が、先週送ってくださったモノだ。彼女は、有料老人ホームで要介護の夫と暮らしている。

 川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入所者3人を殺したとして元職員の男が逮捕された件で、

「今度の事件もただうわべだけで判断できないものを感じています。介護の現場の実情を一人でも多くの人に知ってもらいたい」

と、メールを送ってくださったのである。

有料老人ホームに住む90歳の友人からの手紙

 容疑者の計画的な犯行は決して許せるものじゃない。「ストレスが殺害動機につながった」といった趣旨の見解も、あまりに直接すぎて引っかかるものもある。

 「他人事ではない」とする“友人”の話には、今の介護現場のリアルが描かれていれていた。そこで、“自分たちの問題”として、まずはお読みいただきたいと思う。

「Sアミーユ川崎幸町で起こったことは、他人事ではないような気がしています。殺害なんて絶対に許されることではないし、虐待も暴力もいかなる場合も許し難いことです。

 でも、入所者の中には大声で喚き散らす人、たえずヘルパーを呼びつける人、自分がわからなくなってしまった人、思うようにならないとヘルパーの手にかみつく人など、さまざまです。

 そんな人達の家族に限って 面会に来ることがなく、ホームに預けっぱなしなのです。

 私は夫とともに、毎日、食堂で食事をしているのですが、食事は終わったのに、食べた感覚がなく『食事を早くください!』『死んでしまいます』と大声でわめいている女性がいて、若いヘルパーが優しく対応している姿に頭の下がる思いがしています。

 ヘルパーさんたちがあまりに大変そうなので、食器を運ぶくらいお手伝いしようと申し出ました。でも、絶対にやらせてもらえません。ナニかあったときに、施設の責任になるからです」

「感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません」

 「先週、またヘルパーが2人辞めてしまいました。理由は『給料が少なくて結婚できないから』ということでした。離職者があとを絶たず、なかなか補充もできないので、残ったヘルパー達が、過重労働を強いられているのが現状です。

 ホームには各部屋にインターホーンが設置してありますが、認知症の進んだ入所者が夜間もひっきりなしに押すこともしばしばです。夜勤ヘルパーは、その度に対応しなくてはならない。就寝前に投薬が必要な人もいるので、夜勤の仕事はかなり重労働です。

 ヘルパーの中には夜勤はしない、という条件で勤務している人もいるので、限られたヘルパー達が順番でやっています。すぐに順番がやってくるので、真面目なヘルパーは体重は減るわ、顏はやつれるわで見ていて可哀想になります。私はいつもそんな彼等に感謝と激励の言葉を送っていますが、そんな感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません。

 みなさん、献身的にやってくださります。でも、……人間には限界ってものがありますよね」

コメント57件コメント/レビュー

介護施設にて運営に携わっている者です(被雇用者で、もと介護士です)。

今回90歳のご友人の方のお手紙を拝読し涙致しました。そして後述の河合様の家族介護の心理にも同様に想うことがたくさんありました。

若輩者ですが、介護職に対して随時伝えている事が「私が頑張らない(皆で頑張る)」という事です。私が介護職であった時に、同様の現象を何度も経験しました。全身に汗が吹き出し、暑いのか寒いのかわからないような感情になった時、私を助けてくれたのは仲間達です。チームで助け合える環境があった故に厳しいストレスを分け合う事で乗り切ることができたと思っています。

時は経ち現在、法人の絶対的な医療ヒエラルキーに気持ちが折れそうで、退職や楽なポストに逃げる事を考えていました。

そんな時、今回の記事を拝読し改めて私がこのポストを目指した理由を再確認しました。また彼らのストレスの傘になれるように在りたいと思えました。

ありがとうございました。(2016/03/01 15:10)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

介護施設にて運営に携わっている者です(被雇用者で、もと介護士です)。

今回90歳のご友人の方のお手紙を拝読し涙致しました。そして後述の河合様の家族介護の心理にも同様に想うことがたくさんありました。

若輩者ですが、介護職に対して随時伝えている事が「私が頑張らない(皆で頑張る)」という事です。私が介護職であった時に、同様の現象を何度も経験しました。全身に汗が吹き出し、暑いのか寒いのかわからないような感情になった時、私を助けてくれたのは仲間達です。チームで助け合える環境があった故に厳しいストレスを分け合う事で乗り切ることができたと思っています。

時は経ち現在、法人の絶対的な医療ヒエラルキーに気持ちが折れそうで、退職や楽なポストに逃げる事を考えていました。

そんな時、今回の記事を拝読し改めて私がこのポストを目指した理由を再確認しました。また彼らのストレスの傘になれるように在りたいと思えました。

ありがとうございました。(2016/03/01 15:10)

「90歳の話を鵜呑みにするな」という意見に「一度でも現場を見れば誇張でないとわかる」とのコメントを期待を持って読みはじめました。

ほんとうはデータと想像力があれば、現場を現に見なくても、河合さんの90歳の「ご友人」の話が本当だということはすぐにわかります。その想像力の欠如こそが政策決定する人々の課題なんでしょうけれども。

「誇張でないとわかる」とおっしゃってくださった方でさえ想像力が足らないかもしれない。家族が一週間でも現場で働けばとおっしゃるけれども、ぎりぎりまで自宅介護にがんばってきた家族にとっては、どんな扱いを受けているか「知った」としても、連れて帰る元気もやさしさも、逆さに振っても出てこない。お金をかけないことが悪ではないかのような言い方をしてもおられるけれども、お金の使い道の配分に問題があるのであって、財政が逼迫しているからといって若い労働力が使い捨てられてよいわけがない。

本稿は秀逸といっていいほど問題を見事に整理しているのに、それでも悲しい異論が山ほど出る。そのことに絶望しかけている。(2016/03/01 09:10)

戦争を例にすると、100人の軍隊の内50人死んでも、50人の兵力が残るが、50人が重傷を負うと、その手当のため50人が手を取られるため、兵力0になる。
日本に手に負えない認知症患者がどれぐらいいるか存じ上げませんが、同じ数だけの「有効な能力」がかき消されているとしたら、給料が低い上に、どぶに捨てているようなものです。
1億総活躍の為にも、兵力は有効に使わないといけません。
認知症患者が入所に至った場合、3か月以内に、親族は尊厳死を選ぶのかどうかを選択させる義務を負うべきでしょう。選ばない場合は自宅介護とし、公的補助はなしといった具合に。治る見込みのあるなしの基準は必要ですが、少なくとも、「有効な能力」を無駄にする状況は改善できると思います。
さらに無駄な医療費が削減され、もし人材が浮いてくれば、介護でなく、保育に回し、好循環になるよう望む。(2016/03/01 03:13)

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