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男性保育士「ロリコン疑惑」と待機児童問題

女性社会での「男性活躍」の先に見える人手不足解消の鍵

2016年3月29日(火)

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 「いちばん堪えたのは、ロリコン呼ばわりされたことです。例の『保育園落ちた、日本死ね!』以来、賃金問題はクローズアップされるようになりましたけど……、問題ってそれだけじゃないと思います」

 こう語るのは、ある“男性保育士”である。

 彼は数年前にインタビューさせていただいた方で、30代だった当時は一般企業に勤務されていた。ご自身のキャリアについて語っていただく中で、「保育士だった」ことを明かしてくれたのだ。そのときは辞めた理由を「賃金の問題」としていたが、今回、改めて連絡してお話を伺うことにした。

 そこで彼がしきりに訴えたのが、「男性保育士」への保護者のまなざしだった。

 ロリコン――。もし、保育士という仕事に就いているだけで、そんな風に見られたら……、誰だってショックを受ける。世間は女性への“偏見”には敏感だが、男性へのそれは「何ごともなかった」ようにスルーする。いや、正確にいうと、そういった苦悩を口に出来る男性も少なければ、苦しむ声を取り上げる場も滅多にない。

 そこで今回は、「保育現場の男性問題のリアル」を取り上げようと思う。

 はい、そうです。いわゆる「男性問題」です。毎度毎度でありますが、男性問題といっても、何も私の男関係のいざこざではありませぬ。男性問題とは、「男性差別」と呼ばれることもある男性への“イメージ”から生じる問題です。あしからず(苦笑)。

「僕、そんなに危険人物に思われているのかなぁ」

 「最近は少しづつ男性保育士への理解も進んできたかなぁ、とは思いますけど、私のときはとにかくひどかった。親戚が幼稚園を経営していたので、高校のときから保育士になりたいと思うようになりました。周りからは『給料が低いぞ』とずいぶん脅されましたけど、若い時って生活についてのリアリティーがなくて。『仕事はカネじゃない』なんて理想論丸出しだったんですよね」

 「卒業と同時に近所の保育園に採用が決まり、そこで働くことになりました。職場で男性は私だけです。女性の職場だということは重々承知していたので、そのこと自体は気になりませんでした。ただ、更衣室とかロッカーとか男性用というのがなかったので、困りましたけど。まぁ、それも慣れればなんとかなったし、何よりも子どもたちが私になついてくれたので楽しかったです。ええ、本当に楽しかったんですよ」

 「でも、辞めた。……私がインタビューさせていただいたときは、確か、2年で辞めたとおっしゃっていましたよね?」(河合)

 「はい、そうです。初めて自分の仕事に疑問を持ったきっかけは、保護者の方からのクレームでした。おむつ交換の場に、男である私がいるのが嫌だと。女のお子さんの保護者が言ってきたんです。保育士になる前から、そういった問題があると聞いていたし、中にはプールに一緒に入れたくないと言われ辞めた人もいるという話を聞いたこともあって。なので、『来たか?』って感じでした。ただ、実際に自分が言われると、かなりショックなわけです。僕、そんなに危険人物に思われているのかなぁ、と」

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「男性保育士「ロリコン疑惑」と待機児童問題」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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